Amazon自作自演騒動で話題を呼び、『情報への作法』に☆5つレビュー(?)を投稿した「アーサー」による3回目の騒動が起きた。今回はハンドルネームを「トキワ荘」に変更し、日垣隆氏の著書ではなく初めて他人の著作にレビューを投稿したのだが、その顛末は大変興味深いものとなったので記録しておく。
2011年10月22日 土曜日
午前7時頃、アーサー(現トキワ荘)により日垣隆氏の著書『情報への作法』のAmazonレビューに対するコメントが投稿され、すぐに削除される。
ウォッチャーにより、コメントの公開名(ハンドルネーム)「アーサー」が「トキワ荘」として表示されたことが報告される。
アーサーによる『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』のAmazonレビューが消えたことが確認される。
Amazonのユーザー(ID:AYJF3GVXYQR47)のハンドルネームが「トキワ荘」になったり「アーサー」に戻ったりしていることが話題になる。
この現象はユーザーが自分でハンドルネームを切り替えている可能性も考えられなくはないが、おそらくAmazonのシステム側の問題であると推測している。実際に私もAmazonのアカウントサービスから自分のハンドルネームを変更してみた。変更してから数時間は何度もリロードすると変更したものが表示されたり、変更前のものが表示されたりした。
この様子は次の魚拓から確認できる。ユーザーID:AYJF3GVXYQR47を持つユーザーのハンドルネームが「トキワ荘」になったり「アーサー」になったりしている様子がわかるだろう。
参考資料: ユーザーID:AYJF3GVXYQR47のプロフィールの履歴(魚拓)
午前11時頃、アーサーにより町山智浩氏の著書『トラウマ映画館』に次のレビューが投稿されているのが発見される。
5つ星のうち 1.0 ある意味、すごい本!, 2011/10/22
レビュー対象商品: トラウマ映画館 (単行本)
町山信者が集団でヨイショしているだけで、内容はマイナーな映画ばかりで無内容。読む価値ゼロ。
参考資料: トラウマ映画館のアーサーさんのレビュー(魚拓)
※まだ公開されたばかりで、コメントなどがついていない状態(2011年10月22日 11時19分 記録)
午前11時25分、日垣隆氏がfacebookにAmazonのレビューについて投稿する。長いので引用しない。リンク先を確認していただきたい。
『トラウマ映画館』のレビューに対してはすぐに多数の評価とコメントが投稿された。レビュアーのハンドルネームはしばらくの間「トキワ荘」になったり「アーサー」に戻ったりしたが、数時間後には「トキワ荘」が安定して表示されるようになった。
参考資料: トラウマ映画館のトキワ荘さんのレビュー(魚拓)
※コメントや評価が投稿された後の魚拓(2011年10月23日 1時12分 記録)
2011年10月23日 日曜日
16時40分ごろ、トキワ荘=アーサー(ID: AYJF3GVXYQR47) による『トラウマ映画館』のレビューが消えていることが確認された。これで当該ユーザーのレビューはすべて消えたことになる。
しかし、レビュー一覧を表示する時に順番を「最近のコメント」に変更すると、削除されたレビューでもコメントのついたものは表示されるため、レビュー自体は消えてしまってもそれらを一覧できてしまう。
参考資料: トキワ荘さんが書き込んだレビュー 表示する順番:最近のコメント
これにより、『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』に「著者」と名乗ってレビューを投稿したユーザーが、『トラウマ映画館』にレビューを投稿したユーザーと同一であることがAmazonのサーバーに残ってしまうこととなった。
その他
トキワ荘により『トラウマ映画館』に「取材体験セ ロの」「うそつき」(及び「おたく」)というタグが付けられたことが見つかっている。こちらは見つけにくいので画像を添付する。画像は魚拓へリンクしているが、これは閲覧の利便性のためにそうしている。おそらくAmazonのサーバーにはこの情報は残り続けているだろう。
考察・その他
アーサーの不可解な行動は何だったのだろうか。
過去のレビューを削除し、ハンドルネームを変更して『トラウマ映画館』へ悪意のあるレビューを投稿したことから、おそらくは過去の自分の行動を消し、ハンドル名を変更することで別のアイデンティティとして『トラウマ映画館』へのレビューを投稿したかったのではないかと推測している。しかし残念ながらAmazonのシステム上、ユーザーのID(一意なキー)は変わらず、かつユーザーIDは明示されているためハンドルネームを変更してもユーザーIDで特定できてしまう。もしそのような意図があったとしたら、その試みは失敗してしまった。例えば、問題のユーザーのID AYJF3GVXYQR47を検索してみると、その証拠はあまりにもたくさん残りすぎている。
投稿したレビューも消されることを期待して投稿したのかもしれないが、実際は消されたレビューもAmazonのサーバー上には残っており、ハンドルネームを変更する前のものから一覧できてしまう(コメントがついたもののみ)。
さらに残念なことに、Amazonのシステム上の問題で、ハンドルネームを変更してもすぐに完全に切り替わるのではなく、反映されるまでに数時間かかる。その間、変更前・変更後のハンドルネームが両方表示されたことはウォッチャー達の笑いと混乱を呼んだ。
トキワ荘により『トラウマ映画館』につけられた「取材体験セ ロの」というタグはおそらく「取材体験ゼロの」という意味だと考えている。Amazonのタグには記号(例:?, ☆, !など)を含むことができない。おそらく半角カナで「ゼロ」と入力したところ「゙」が取り除かれたか文字化けを起こし、「セ ロ」になったと推定している。このことは当該ユーザーにより、「取材体験ゼロ」(Web魚拓) というタグが別途付けられていることや、こういったツイートやこちらのツイートから推定される。
(『トキワ荘→懸垂二百回 Amazonタグ・コメント追加事件』に続く)
参考資料
【教授職を断り】日垣隆★73【クローズ講演】
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1318412919/845-
【アーサー】日垣隆★74【トキワ荘】 2011/10/23 - 2011/11/02
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1319301325/