この問題は、作家の日垣隆氏が自身が著作権を持たない、また権利者から配布を許諾されていない書籍をPDF化(電子化・自炊)し、誰でもダウンロードできる状態でWebサーバー上に配置していたことが明らかになった、という事件です。
この件については大石英司氏のメールマガジンで取り上げられているので、ここに紹介します。
大石英司の避難空港 7/30,7/31,8/2号
http://melma.com/backnumber_173916_5249832/
http://melma.com/backnumber_173916_5250610/
http://melma.com/backnumber_173916_5252170/
私もこの問題について権利者である著者と、それからナツメ出版編集部の担当者I氏にコンタクトしました。問題のファイルをダウンロードできるURLを教えたところ、著者からはすぐに「まったく知りませんでした。ナツメ社さんとも相談してみます。」とのお返事をいただきました。許諾していない、ということでしょう。
ナツメ社の方は少々時間がかかったり難儀しましたが、会社組織として対応しているのでしょうから止むを得ないでしょう。結局許諾していないという返答をいただきました。
先ほどこの記事を公開する前に再度問題のURLにアクセスしてみましたが、未だにそのファイルは日垣氏公式サイトのWebサーバーからダウンロードすることができます。この問題が指摘されたのは2011年7月27日ですから、すでに問題の発覚から2ヶ月以上経過しているのに何の対処もされていないことになります。
ナツメ社と日垣氏との間でどのようなやり取りがあったのか、あるいはなかったのか私は知りません。この問題ではナツメ社は被害者です。著作権法により著作権侵害は親告罪とされているので、ナツメ社が何もしない限り日垣氏は何のお咎めも受けません。
この問題で日垣氏がどのような発言をしているかを知りたければ、日垣 ナツメで検索してみるとよいでしょう。facebook上でいくつかの発言を私は見ましたが、それらは後に削除されました。
日垣氏が知っているのか知らないのかどちらにせよ、公式サイトの代表者は日垣氏です。この問題について対応しなければいけません。自身が著作権を持つファイルの流出には遅まきながら対処した(この件は後の記事でとりあげます)のに、なぜこのファイルはダウンロードできるままで放置されているのでしょう?
この問題には、次のような疑問が残されています。
- このファイルは誰によりWebサーバーに配置されたのか?
この件についてはほぼ判明しています。このブログで今後触れていくでしょう。 - このファイルの配布対象者は誰なのか?
これは判明していません。bitlyのアクセス統計によると当該URLには200回以上のアクセスがあったことはわかっていますが、彼らからのリークは今のところありません。アクセスはしたものの、ファイルサイズが大きいので一度中断したり、後日リトライしたことも考えられるので、ダウンロードした人数=アクセス人数とは限りません。 - ナツメ社から被害届は出ているのか?あるいは日垣氏に対して何らかのアクションはあったのか?
- なぜ問題のPDFファイルはWebサーバー上から削除されていないのか?
(『有料PDF URLダダ漏れ問題』に続く)