2011/11/18

5刷問題

5刷問題は複雑な問題ではない。短く述べてしまえば、次のような問題だ。

日垣隆氏が自身の著作『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』が発売後一ヶ月で5刷になった(増刷が4回かかった)と主張したが、誰も5刷どころか2刷すら見つけることができなかった。講談社に増刷状況を問い合わせてみたところ増刷は一度もかかっていないと回答され、その主張は虚偽であると判断された。

しかし、この問題の全容を理解するのは難しい。なぜなら、日垣氏は上記のような単純な問題を二ヶ月以上も引っ張り、様々な問題を派生させたからだ。なお日垣氏の主張は未だ撤回されてはいないので、問題は継続中であるとも言える。

この記事では、この問題について見直し、できるだけわかりやすく記録していきたい。

プロローグ1 町山智浩氏、TBSラジオレギュラー出演者として日垣氏の「サイエンス・サイトーク」終了問題についてコメントする

この件は町山智浩氏と三条穀史氏による日垣隆氏へのツッコミ返し【TBSラジオ問題】としてtogetterに記事がある。この時には町山氏と日垣氏が直接やりとりをしている様子はない。

プロローグ2 町山氏と豊崎由美氏がAmazon自作自演騒動について会話しているところへ日垣氏が割り込む

この件は町山智浩氏、日垣隆氏を褒めたら罵倒されるの途中までに記録されている。この時には日垣氏が町山氏に人違いをして詰問し、日垣氏は誤りを認め謝罪したようだが、その後フォロワーと町山氏について会話している。なお当該フォロワーのツイッターアカウントは現在存在しない。一方町山氏もフォロワーと日垣氏について会話している様子が残っている。

プロローグ3 町山氏、締め切り26本について確認する

町山氏は日垣氏の「明日の締め切り26本」発言を知る。通常出版社は日曜日に締め切りを設定することはないこと、及び日垣氏の記事が発表されるペースから考えて締め切り26本は多すぎることから町山氏は疑問を感じ、日垣氏に掲載媒体を確認する。この件については地獄のミサワか?w 1日に締め切り26本の原稿を抱える日垣隆先生、町山智浩氏に「喝!」に記録されている。

結局この件については日垣氏が「すべて6月20日前後に出ます。」とツイートしたものの、雑誌なのか単行本なのか等は明らかにされなかった。またその後「講談社の原田さん。Twitterから失礼します。あす日曜日締め切り全26本の締め切りには、万全を期して臨みます。」とツイートしているため、この時点で締め切り26本はすべて講談社との仕事であり、一人の編集者によって担当されていることがわかった。

プロローグ3の疑問点

『情報への作法』刊行までの経緯で述べたように、おそらくこの締め切り26本とは『情報への作法』各章への補遺であったと推定される。なお、『情報への作法』のあとがきを見ると担当編集者は原田隆氏と書かれている。同じく『情報への作法』刊行までの経緯で述べたように、結果的にこの締め切り26本は守れなかったようだが、なぜこの時に「旧作を再文庫化するので、その補遺の締め切りである」と答えなかったのだろうか。

5刷発言

その後両者は言い合いになる。その様子は日垣隆さん『リアル書店では(新刊の)売り上げ順調』←町山智浩さん『日垣先生、(リアル書店で)売れてないそうです』に記録されている。この言い合いの中で、町山氏の「4月28日に出た新刊が既にアマゾンで4万位以下に落ちてる同業者に嫉妬はしませんよ。」という発言に対し、日垣氏は「Amazonに馴染まない本もあるのですよ。ではなぜ一カ月で5刷に?」と発言する。これが5刷発言である。なお日垣氏はこのツイートを後に削除している。いつ削除されたのかは明らかになっていない。しかし、上記のtogetterの記事にそれは残っているし、hiwihhiふぁぼったーにも発言が記録されてしまっている。

普通ならば発言を削除するということは、その発言を撤回したとも考えられる。しかし、その発言が削除されていることが周知されたのは少なくとも発言から1週間以上経ってからであり、その後も日垣氏が発言を撤回した様子は見られなかった。

発言の反響

対象の本『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』は5刷どころか2刷の発見報告もなかった。私は講談社広報室、及び週刊現代編集部(当該書籍の奥付に編集部の電話番号が書いてあるが、これは週刊現代編集部のものである)に電話をして増刷状況確認をしたが、増刷されておらず発行しているのは初刷(第1刷)のみとすぐに回答して頂いた。なお、増刷状況については社外秘などではなく、講談社の社員はそれを知ることができるし、問い合わせれば誰でも回答してもらえるはずだ。

町山氏、5刷に懸賞金をかける。日垣氏、送ったと主張する

この件については現代版竹取物語!町山「日垣新刊の5刷目、100万円で買うよ」日垣「オッケー送るわ」【現在進行中】(@TomoMachi @hga02104)を参照していただきたい。また、7月19日以降は7刷になったと主張している

5刷問題の問題点

日垣氏は5刷を主張した。私は講談社に問い合わせ、増刷されていないことを確認した。ネット上では5刷どころか2刷も見つからないというユーザーからの報告が相次いだ。2刷以降が見つかったという報告はひとつも見つからなかった。増刷されていることを主張したければ奥付写真をアップロードして示せばよいのだが、それもなかった。私自身も当該の書籍を購入したが、やはり第1刷だ。これらのことから私は日垣氏の主張が虚偽であると判断した。

5刷問題を知っている人や、それについて発言しているユーザーの中で講談社に確認をとった人の割合は多くないと考えている。講談社に確認をとることを電凸と呼び、迷惑行為だと判断する人もいる。しかし、このようなことを確認しないとどういうことになるか。どうせ誰も確認しないからとデマ・嘘・騙し・ペテンが横行する事態を私は恐れている。

5刷発言で誰か被害を受けたか、迷惑を被ったかについては私は具体的に示すことはできない。しかし、これ以降、以前にも増して日垣氏の発言は著作の内容を含め、真偽を疑われることが多くなったと私は感じている。

参考資料

5刷問題@wiki
http://www47.atwiki.jp/gakkymatome/pages/23.html

週刊現代で連載中!!被災地を食い物にしている電子書籍(略)の日垣隆氏 @hga02104 がいう5刷があるのか講談社に聞いてみた音声が公開。 #denshi やっぱり嘘でした。
http://togetter.com/li/170266

【電子書籍】日垣隆スレ★45【日本一!?】http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1306745088/305-

【かわいいたこ】日垣隆スレ★46【エア5刷】 2011/06/09 - 2011/06/13
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1307589121/

以降の日垣隆スレッドは過去ログ集を参照していただきたい。

5刷問題その後

日垣問題年表を見てわかる通り、その後日垣氏は複数の事件をツイッター上で起こしている。記事では日垣氏の発言から主旨のみを取り出しているが、実際の発言を確認すればわかるとおり、日垣氏は言葉汚く周囲を罵っている。これらにより問題となる論点は増え続け、日垣氏に対する批判・非難は加熱し続けた。主な問題のみ年表に記載したが、仙台の被災者を罵倒したことなどは年表に記載していない。年表を見て、さらに他にどんなことが起きたのか知りたい方はtogetterを日垣隆タグで検索するなどして各自確認していただきたい。

著作の記述に対して疑義を呈したり、虚偽や捏造・矛盾を指摘することは主にamazonのレビュー・レビューのコメント・クチコミで行われている。現時点での主なもの(ページ数や参考資料を具体的に挙げており、簡単に確認できるもの)を以下に挙げておく。

『情報への作法』

『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』

『裁判官に気をつけろ!』

『こう考えれば、うまくいく。』

『少年リンチ殺人―ムカついたから、やっただけ』

『そして殺人者は野に放たれる』

最近では、こちらのレビューで指摘されているような「著作(記事)間での記述の矛盾」も見つかっている。他には、「リビア(北アフリカ)に行ったのは数日なのか、2ヶ月なのか」「兄が『発狂』したのはいつなのか。夏なのか、冬なのか」「火事にあったのはいつで、それはどの程度ひどかったのか?」などがある。これらがamazonのレビューで指摘されるかはわからないが、いずれ明確な形で指摘されるだろう。

2011/11/10

アーサー⇔トキワ荘Amazonレビュー事件

Amazon自作自演騒動で話題を呼び、『情報への作法』に☆5つレビュー(?)を投稿した「アーサー」による3回目の騒動が起きた。今回はハンドルネームを「トキワ荘」に変更し、日垣隆氏の著書ではなく初めて他人の著作にレビューを投稿したのだが、その顛末は大変興味深いものとなったので記録しておく。

2011年10月22日 土曜日

午前7時頃、アーサー(現トキワ荘)により日垣隆氏の著書『情報への作法』のAmazonレビューに対するコメントが投稿され、すぐに削除される。

ウォッチャーにより、コメントの公開名(ハンドルネーム)「アーサー」が「トキワ荘」として表示されたことが報告される。

アーサーによる『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』のAmazonレビューが消えたことが確認される。

Amazonのユーザー(ID:AYJF3GVXYQR47)のハンドルネームが「トキワ荘」になったり「アーサー」に戻ったりしていることが話題になる。

この現象はユーザーが自分でハンドルネームを切り替えている可能性も考えられなくはないが、おそらくAmazonのシステム側の問題であると推測している。実際に私もAmazonのアカウントサービスから自分のハンドルネームを変更してみた。変更してから数時間は何度もリロードすると変更したものが表示されたり、変更前のものが表示されたりした。

この様子は次の魚拓から確認できる。ユーザーID:AYJF3GVXYQR47を持つユーザーのハンドルネームが「トキワ荘」になったり「アーサー」になったりしている様子がわかるだろう。

参考資料: ユーザーID:AYJF3GVXYQR47のプロフィールの履歴(魚拓)

午前11時頃、アーサーにより町山智浩氏の著書『トラウマ映画館』に次のレビューが投稿されているのが発見される。

5つ星のうち 1.0 ある意味、すごい本!, 2011/10/22
レビュー対象商品: トラウマ映画館 (単行本)
町山信者が集団でヨイショしているだけで、内容はマイナーな映画ばかりで無内容。読む価値ゼロ。

参考資料: トラウマ映画館のアーサーさんのレビュー(魚拓)
※まだ公開されたばかりで、コメントなどがついていない状態(2011年10月22日 11時19分 記録)

午前11時25分、日垣隆氏がfacebookにAmazonのレビューについて投稿する。長いので引用しない。リンク先を確認していただきたい。

『トラウマ映画館』のレビューに対してはすぐに多数の評価とコメントが投稿された。レビュアーのハンドルネームはしばらくの間「トキワ荘」になったり「アーサー」に戻ったりしたが、数時間後には「トキワ荘」が安定して表示されるようになった。

参考資料: トラウマ映画館のトキワ荘さんのレビュー(魚拓)
※コメントや評価が投稿された後の魚拓(2011年10月23日 1時12分 記録)

2011年10月23日 日曜日

16時40分ごろ、トキワ荘=アーサー(ID: AYJF3GVXYQR47) による『トラウマ映画館』のレビューが消えていることが確認された。これで当該ユーザーのレビューはすべて消えたことになる。

しかし、レビュー一覧を表示する時に順番を「最近のコメント」に変更すると、削除されたレビューでもコメントのついたものは表示されるため、レビュー自体は消えてしまってもそれらを一覧できてしまう。

参考資料: トキワ荘さんが書き込んだレビュー 表示する順番:最近のコメント

これにより、『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』に「著者」と名乗ってレビューを投稿したユーザーが、『トラウマ映画館』にレビューを投稿したユーザーと同一であることがAmazonのサーバーに残ってしまうこととなった。

その他

トキワ荘により『トラウマ映画館』に「取材体験セ ロの」「うそつき」(及び「おたく」)というタグが付けられたことが見つかっている。こちらは見つけにくいので画像を添付する。画像は魚拓へリンクしているが、これは閲覧の利便性のためにそうしている。おそらくAmazonのサーバーにはこの情報は残り続けているだろう。

取材体験セ ロのうそつき

考察・その他

アーサーの不可解な行動は何だったのだろうか。
過去のレビューを削除し、ハンドルネームを変更して『トラウマ映画館』へ悪意のあるレビューを投稿したことから、おそらくは過去の自分の行動を消し、ハンドル名を変更することで別のアイデンティティとして『トラウマ映画館』へのレビューを投稿したかったのではないかと推測している。しかし残念ながらAmazonのシステム上、ユーザーのID(一意なキー)は変わらず、かつユーザーIDは明示されているためハンドルネームを変更してもユーザーIDで特定できてしまう。もしそのような意図があったとしたら、その試みは失敗してしまった。例えば、問題のユーザーのID AYJF3GVXYQR47を検索してみると、その証拠はあまりにもたくさん残りすぎている。

投稿したレビューも消されることを期待して投稿したのかもしれないが、実際は消されたレビューもAmazonのサーバー上には残っており、ハンドルネームを変更する前のものから一覧できてしまう(コメントがついたもののみ)。

さらに残念なことに、Amazonのシステム上の問題で、ハンドルネームを変更してもすぐに完全に切り替わるのではなく、反映されるまでに数時間かかる。その間、変更前・変更後のハンドルネームが両方表示されたことはウォッチャー達の笑いと混乱を呼んだ。

トキワ荘により『トラウマ映画館』につけられた「取材体験セ ロの」というタグはおそらく「取材体験ゼロの」という意味だと考えている。Amazonのタグには記号(例:?, ☆, !など)を含むことができない。おそらく半角カナで「ゼロ」と入力したところ「゙」が取り除かれたか文字化けを起こし、「セ ロ」になったと推定している。このことは当該ユーザーにより、「取材体験ゼロ」(Web魚拓) というタグが別途付けられていることや、こういったツイートこちらのツイートから推定される。

(『トキワ荘→懸垂二百回 Amazonタグ・コメント追加事件』に続く)

参考資料

【教授職を断り】日垣隆★73【クローズ講演】
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1318412919/845-

【アーサー】日垣隆★74【トキワ荘】 2011/10/23 - 2011/11/02
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1319301325/

2011/11/08

『情報への作法』Amazonレビュー自作自演騒動

2011年10月16日、Amazon自作自演騒動で取り上げたレビュアー「アーサー」により日垣隆氏の最新刊『情報への作法』に対する次のレビューが投稿された。

5つ星のうち 5.0 町山信者の断末魔, 2011/10/16
レビュー対象商品: 情報への作法 (講談社プラスアルファ文庫) (文庫)
好き嫌いと、評価の区別もつかないレビュアー、気の毒としか言いようがない。

レビューにはすぐに多数のコメントが付き、翌日10月17日(月)の9:40頃には削除された。

(『アーサー⇔トキワ荘Amazonレビュー事件』に続く)

参考資料

Amazon.co.jp: 情報への作法 (講談社プラスアルファ文庫)のアーサーさんのレビュー(魚拓)
http://megalodon.jp/2011-1017-0315-10/www.amazon.co.jp/review/R3CEZQB7V9ALQV

【教授職を断り】日垣隆★73【クローズ講演】
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1318412919/389-