『情報の技術』のPDFは何部売れたのか 日刊サイゾー編でも取り上げた以下の記事について、別の疑問点が見つかったため記録しておく。
″知の暴君″日垣隆氏がサイゾーに降臨 Web3.0時代を語る!
http://www.cyzo.com/2010/07/post_5039.html
http://news.livedoor.com/article/detail/4898443/
問題点は、記事内に記載されている「PDF/電子書籍の配信・販売開始時期」である。
記事内の記述ではPDF/電子書籍の配信・販売開始は1997年とされている
この記事内には、以下の二つの記述がある。
13年前から自身の著作物を電子書籍で販売している「メディア強者」の一人だ。
13年前に著作物をPDFに乗せて配信を始めました。
日垣氏の著書『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』27ページによると、日垣氏がPDF以外の電子書籍を初めてリリースしたのは理想書店(ボイジャー社)を通して行われており、それは2010年であると明記されている。
また、この記事を書いた浮島さとし氏のツイートによるとインタビューが行われたのは2010年7月9日であり、記事内には「2010.07.21 水」と書かれているので、13年前とは1997年である。
つまり、この記事では「日垣隆氏は1997年にPDFを配信(販売)開始した」とされている。
メールマガジン「ガッキィファイター」によるとPDFを販売開始したのは2005年5月である
ところが、日垣氏の発行するメールマガジン「ガッキィファイター」によると、PDFの販売開始は2005年であることになっている。確認できる初期のPDF販売実績は以下のとおりである。
- 『もっと、面白い読書を!』 2005年5月販売開始
- 『PDF 通販講座』 2006年1月販売開始
- 『PDF すぐに役立つ文章講座』 2006年5月販売開始
そして、メールマガジン第189号(2006年5月3日発行)には「PDF第3弾「文章講座」が完成しました」と書かれている。従って、遡って数えることにより2005年5月の『もっと、面白い読書を!』からPDFの販売が開始されたことがわかる。
『もっと、面白い読書を!』及び『PDF 通販講座』の販売開始時期については、日垣氏公式サイトにあるメールマガジンのバックナンバーから次のように知ることができる。なお、無料でPDFを配信していた痕跡は見つからなかった。
『もっと、面白い読書を!』について
メールマガジン第141号(2005年5月10日発行)
http://www.gfighter.com/00252005/20050507000946.php(Web魚拓)
※《「大読書会in大阪」の全記録が完成しました》 とPDFの販売が告知されている。
2005年4月 「大読書会in大阪」
http://www.gfighter.com/000431/20100513001409.php(Web魚拓)
※《セミナーの模様は 『もっとおもしろい読書を!』でお読みいただけます。》 と書かれている。
『PDF 通販講座』について
メールマガジン第173号(2005年12月29日発行)
http://www.gfighter.com/00252005/20051229001005.php(freezePAGE)
※《PDFファイル『通販講座』特価1,400円 予約開始》と書かれている。
私も禁パチに成功しました!
http://www.gfighter.com/0034/20060111002404.php
※《リクエスト通りに(PDF『通販講座』を)販売していただいてありがとうございます。》《今から注文させていただきます。》《「ガッキィファイター」2006年01月11日号に掲載》と書かれており、2006年1月には販売開始されていたことがわかる。
問題点・疑問点
- 日刊サイゾーの記事内では日垣氏は1997年にPDFを配信(販売)開始したとされている
- 実際に日垣氏がPDFを販売開始したのは2005年である
- 日刊サイゾーの記事からの引用で、前者の記述はライターの浮島さとし氏によるものであり、後者は日垣氏本人の弁である。従って前者の記述は誤りであるとして排除し、「1997年にPDFを(無料で)配信開始した」と解釈する余地がある。そうであれば、記事を訂正した方がよいと考えるが、その「無料で配信した」PDFは何であったのかという疑問が残る。
参考資料
Amazonカスタマーレビュー『読者が何も気づかないとでも考えているのか』
http://www.amazon.co.jp/review/RB8OSSG01ZIDE/