2011/12/12

日垣隆著『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』の内容に対する問題

2011年4月に発売された日垣隆著『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(講談社)(以下『電子書籍を~』)はその書名を含め多数の問題点を指摘されている。この記事ではこれまでに指摘された問題点のうち一部を取り上げる。

なお、この記事にはamazonへのリンクが含まれるが、amazonのモバイルサイトはコンテンツを一部しか表示しない(レビューのコメントを表示しない)ため、参考資料として不完全なものしか表示できない。PC/MacやiPad等のフルブラウザで読むことをおすすめする。

電子書籍を日本一売った?

書名にもあるように、日垣氏は「電子書籍を日本一売った」と自称しているが、その根拠、つまり第三者による客観的な認定を受けたとは書いていない。また、「日本一売った」のはどういう基準において比較されたのかも明らかでない。基準とは、集計期間・売上・部数・調査対象などである。

この事について日垣氏はツイッターで他のユーザーから質問を受けたが、明確な回答を示すことができず、やりとりが次の記事にまとめられている。

日垣隆氏(@hga02104)の『電子書籍を日本一売ってみたけれど、 やっぱり紙の本が好き』は嘘?
http://togetter.com/li/135897

電子書籍を準備し始めたのは、初めて作ったのは、売ったのはそれぞれいつ?

本書には日垣氏の電子書籍関連の実績が書かれているが、その記述に齟齬・矛盾がある。

『電子書籍を~』では、日垣氏が電子書籍の時代を初めて意識したのは1986年末であり、同年には初めての電子書籍を作っており2001年から販売を開始したことになっている。
しかし、別の著書『こう考えれば、うまくいく。』(文藝春秋)では1987年に電子書籍について準備を始めたことになっている。つまり準備を始めるより前に既に作っていたことになっている。
また、日刊サイゾーのインタビュー記事「"知の暴君"日垣隆氏がサイゾーに降臨 Web3.0時代を語る!」では1997年に電子書籍の販売を開始したことになっている。

なお、実際に日垣氏が無料メールマガジンの配信を開始したのは2001年、有料メールマガジンの配信は2002年から、PDFの販売は2005年からであり、それ以外の実績は見つかっていない。

その他の問題

その他、指摘されている問題のうち一部を挙げておく。中国語版(海外版)メルマガについては今回は触れないが、今後記事にする予定である。

 

参考資料

ここまでの内容に対する参考資料を挙げておく。ただし文中にリンクを埋め込んでいるものを除く。

企業法務マンサバイバル - No.1表示と景品表示法
http://blog.livedoor.jp/businesslaw/archives/51541159.html
※本書のように「日本一」などNo.1表示を行うことに対する法律上の解釈が説明されている。さらに理解を深めたい方は「景品表示法 No.1 表示」で検索していただきたい

Amazonレビュー「読者が何も気づかないとでも考えているのか」
http://www.amazon.co.jp/review/RB8OSSG01ZIDE/
※実績の矛盾・日本一の基準が示されていないこと・電子書籍の定義が不明であること・メールマガジン配信開始時期が事実と違うことが指摘されている

Amazonクチコミ『本当に「日本一」売ったの? 』
http://www.amazon.co.jp/gp/forum/cd/discussion.html?cdForum=Fx2E1RZAXC0XRQ3&cdThread=Tx3KA6JH377OXSJ

日刊サイゾー「″知の暴君″日垣隆氏がサイゾーに降臨 Web3.0時代を語る!」に対する指摘
http://higakimondai.blogspot.com/2011/12/web30.html
※実績についての矛盾を当該記事を中心に記述している

この本の原稿はワニブックスで発売中止になったものではないか?

日垣氏はワニブックスPLUS新書から『デジタル総痴呆化社会の空気を読め!(仮)』という本を出す予定だった。発売予定日は2011年2月8日だった。しかしこの本はどうやら発売中止になったようだ。ただ、この本の内容紹介を見ると、その内容はまさに『電子書籍を~』の内容であった。

残念ながら『デジタル総痴呆化社会の空気を読め!(仮)』の内容紹介はamazonからも、ワニブックス社のサイトからも削除されてしまっている。しかし、その内容を保存しているブログがあった。次の記事である。

【予約開始】日垣隆『デジタル総痴呆化社会の空気を読め!(仮)』→2011年2月8日発売予定
http://blog.livedoor.jp/ton20071208/archives/1561092.htmlWeb魚拓

内容紹介を以下に引用する。

ついに真打ち登場!
電子書籍売り上げ日本NO.1の著者がいよいよ「総デジタル化時代」で勝ち抜いてきたワザと知恵を公開。
電子書籍の<書き手><編み手><売り手>としての立場を明らかにしながら、「実践者」にしかわかり得ない今後の展望を語る。
「結局は可処分時間の奪い合い」「辞書類は電子書籍の圧勝」「再びライブの時代がやってきた」など最前線発の考察は現代人必読。
iPhone、iPad、キンドルなど、新時代のツールとの付き合い方も伝授。

前半は電子書籍「売り上げ」日本一を誇る日垣氏が今後の展望を語る、というまさに『電子書籍を~』の内容である。
後半の「結局は可処分時間の奪い合い」「辞書類は電子書籍の圧勝」「再びライブの時代がやってきた」というフレーズは『電子書籍を~』の目次を見ると、そのまま見出しとして使われている。
また、最後の「iPhone、iPad、キンドルなど、新時代のツールとの付き合い方」については、『電子書籍を~』の第2章「 電子書籍の〈読み方〉と〈デバイス活用法〉 」でそれらしきことが語られている。

さて、『デジタル総痴呆化社会の空気を読め!(仮)』が発売中止になったであろうことは、発売予定が告知されていたのに現時点でその本が出版されていないことから推測できることであるが、加えて日垣氏は発売予定日直前の2月7日からツイッターで株式会社ワニブックスに対する日垣隆先生の発言にある発言を始めている。

なお、『電子書籍を~』の発売日は2011年4月28日である。

疑問点

『デジタル総痴呆化社会の空気を読め!(仮)』と『電子書籍を~』の関係について、以下の疑問が残る。

  • 『デジタル総痴呆化社会の空気を読め!(仮)』が発売中止になったのはなぜか
  • 『電子書籍を~』は『デジタル総痴呆化社会の空気を読め!(仮)』の没原稿を使ったものか
  • 没原稿を使っているのであれば、ワニブックスでは発売中止になった事情を講談社ではどのように判断したのだろうか

念のために述べておくが、ある出版社で没になった原稿を他の出版社から出すことは問題視していない。出版社間での校閲水準にはどの程度の差があるのだろうか、差があるとすれば講談社(あるいは本書を編集した週刊現代編集部)の水準はどの程度なのか、ということに対し疑義を呈している。

2011/12/08

日刊サイゾー「″知の暴君″日垣隆氏がサイゾーに降臨 Web3.0時代を語る!」に対する指摘

『情報の技術』のPDFは何部売れたのか 日刊サイゾー編でも取り上げた以下の記事について、別の疑問点が見つかったため記録しておく。

″知の暴君″日垣隆氏がサイゾーに降臨 Web3.0時代を語る!
http://www.cyzo.com/2010/07/post_5039.html
http://news.livedoor.com/article/detail/4898443/

問題点は、記事内に記載されている「PDF/電子書籍の配信・販売開始時期」である。

記事内の記述ではPDF/電子書籍の配信・販売開始は1997年とされている

この記事内には、以下の二つの記述がある。

13年前から自身の著作物を電子書籍で販売している「メディア強者」の一人だ。

13年前に著作物をPDFに乗せて配信を始めました。

日垣氏の著書『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』27ページによると、日垣氏がPDF以外の電子書籍を初めてリリースしたのは理想書店(ボイジャー社)を通して行われており、それは2010年であると明記されている。

また、この記事を書いた浮島さとし氏のツイートによるとインタビューが行われたのは2010年7月9日であり、記事内には「2010.07.21 水」と書かれているので、13年前とは1997年である。

つまり、この記事では日垣隆氏は1997年にPDFを配信(販売)開始したとされている。

メールマガジン「ガッキィファイター」によるとPDFを販売開始したのは2005年5月である

ところが、日垣氏の発行するメールマガジン「ガッキィファイター」によると、PDFの販売開始は2005年であることになっている。確認できる初期のPDF販売実績は以下のとおりである。

  1. 『もっと、面白い読書を!』       2005年5月販売開始
  2. 『PDF 通販講座』                   2006年1月販売開始
  3. 『PDF すぐに役立つ文章講座』 2006年5月販売開始

そして、メールマガジン第189号(2006年5月3日発行)には「PDF第「文章講座」が完成しました」と書かれている。従って、遡って数えることにより2005年5月の『もっと、面白い読書を!』からPDFの販売が開始されたことがわかる。

『もっと、面白い読書を!』及び『PDF 通販講座』の販売開始時期については、日垣氏公式サイトにあるメールマガジンのバックナンバーから次のように知ることができる。なお、無料でPDFを配信していた痕跡は見つからなかった。

『もっと、面白い読書を!』について

メールマガジン第141号(2005年5月10日発行)
http://www.gfighter.com/00252005/20050507000946.phpWeb魚拓
※《「大読書会in大阪」の全記録が完成しました》 とPDFの販売が告知されている。

2005年4月 「大読書会in大阪
http://www.gfighter.com/000431/20100513001409.phpWeb魚拓
※《セミナーの模様は 『もっとおもしろい読書を!』でお読みいただけます。》 と書かれている。

『PDF 通販講座』について

メールマガジン第173号(2005年12月29日発行)
http://www.gfighter.com/00252005/20051229001005.phpfreezePAGE)
※《PDFファイル『通販講座』特価1,400円 予約開始》と書かれている。

私も禁パチに成功しました!
http://www.gfighter.com/0034/20060111002404.php
※《リクエスト通りに(PDF『通販講座』を)販売していただいてありがとうございます。》《今から注文させていただきます。》《「ガッキィファイター」2006年01月11日号に掲載》と書かれており、2006年1月には販売開始されていたことがわかる。

問題点・疑問点

  • 日刊サイゾーの記事内では日垣氏は1997年にPDFを配信(販売)開始したとされている
  • 実際に日垣氏がPDFを販売開始したのは2005年である
  • 日刊サイゾーの記事からの引用で、前者の記述はライターの浮島さとし氏によるものであり、後者は日垣氏本人の弁である。従って前者の記述は誤りであるとして排除し、「1997年にPDFを(無料で)配信開始した」と解釈する余地がある。そうであれば、記事を訂正した方がよいと考えるが、その「無料で配信した」PDFは何であったのかという疑問が残る。


参考資料

Amazonカスタマーレビュー『読者が何も気づかないとでも考えているのか』
http://www.amazon.co.jp/review/RB8OSSG01ZIDE/

2011/12/03

トキワ荘⇛懸垂二百回 Amazonタグ・コメント追加事件

Amazonユーザーアーサーことトキワ荘が今度は「懸垂二百回」と公開名(ハンドル名)を変更し、Amazonへのコメントやタグ追加を行なっている事が明らかになった。

ハンドル名の変更

問題のユーザーのIDはAYJF3GVXYQR47である。このIDを持つユーザー ページのウェブ魚拓の履歴を見ると、ユーザーID: AYJF3GVXYQR47を持つユーザーがハンドル名を変更していることがわかる。つまり、アーサー=トキワ荘=懸垂二百回であることがわかる。
また、ユーザーID:AYJF3GVXYQR47 で検索してみると、これまで当該のユーザーがどのような活動をしてきたか断片的にわかるだろう。

活動1『つながる読書術』へのタグ追加

「懸垂二百回」(ユーザーID:AYJF3GVXYQR47)は日垣隆著『つながる読書術』に「町山智浩の嫉妬対照 懸垂百回の正体は町山」「町山子分の妄言テロ」というタグを付けた。以下はその証拠画像であり、画像をクリックすると各々のウェブ魚拓が表示される。

町山智浩の嫉妬対照 懸垂百回の正体は町山町山子分の妄言テロ

懸垂百回とはamazonレビュアー「懸垂百回」氏のことであり、上記のタグでは懸垂百回氏が町山智浩氏であると言いたいのだと考えられる。根拠も無いため信じる人はいないであろうが、町山氏からはそれについて以下のように否定のコメントが出ている。

http://twitter.com/TomoMachi/status/141913616319381504
アマゾンの優れたレビュワー「懸垂百回」さんの正体が町山であるとするタグが現れました。http://amzn.to/uo7Pos もちろんデマです。このタグを作った「懸垂二百回」氏のIDは「トキワ荘」こと日垣隆@hga02104でした。http://bit.ly/vw6Cjr

また「嫉妬対照」は変換ミスであり、正しくは「嫉妬対象」であろう。

活動2『USAカニバケツ』へのタグ追加

「懸垂二百回」(ユーザーID:AYJF3GVXYQR47)は町山智浩著『USAカニバケツ: 超大国の三面記事的真実』に「コリアン」「エア評論」「評論家」「引きこもり評論家」「引きこもり」「諸外国への無知」「初めての文庫」というタグを付けた。以下はその証拠画像であり、画像はウェブ魚拓へリンクされている。

コリアンエア評論評論家引きこもり評論家引きこもり諸外国への無知初めての文庫

『USAカニバケツ』に現在付けられているタグ一覧はこちらから見ることができる。

活動3『USAカニバケツ』のレビューへのコメント追加

「懸垂二百回」(ユーザーID:AYJF3GVXYQR47)は町山智浩著『USAカニバケツ: 超大国の三面記事的真実』のamazonレビューに次のコメントを追加した。

町山先生、初の文庫化、おめでとうございます。刷り部数が桁違いに少ないとはいえ、ようやくここまできましたね。読むに耐えないのに、よく編集者が見つかった。本当に感動ですね。

このコメントの魚拓はこちら、元のレビューへのリンクはこちらになる。なお、「懸垂二百回」のコメントとコメントの付けられたレビューは関係ないと考えられる。

参考資料

Amazon での自作自演に飽き足らず町山氏の著書にネガティブタグを付ける日垣氏の話
http://togetter.com/li/222403

【★1つは】日垣隆★77【嫉妬のマーキング】
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1322309630/613-

日垣隆先生と文庫化
http://togetter.com/li/220073

2011/11/18

5刷問題

5刷問題は複雑な問題ではない。短く述べてしまえば、次のような問題だ。

日垣隆氏が自身の著作『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』が発売後一ヶ月で5刷になった(増刷が4回かかった)と主張したが、誰も5刷どころか2刷すら見つけることができなかった。講談社に増刷状況を問い合わせてみたところ増刷は一度もかかっていないと回答され、その主張は虚偽であると判断された。

しかし、この問題の全容を理解するのは難しい。なぜなら、日垣氏は上記のような単純な問題を二ヶ月以上も引っ張り、様々な問題を派生させたからだ。なお日垣氏の主張は未だ撤回されてはいないので、問題は継続中であるとも言える。

この記事では、この問題について見直し、できるだけわかりやすく記録していきたい。

プロローグ1 町山智浩氏、TBSラジオレギュラー出演者として日垣氏の「サイエンス・サイトーク」終了問題についてコメントする

この件は町山智浩氏と三条穀史氏による日垣隆氏へのツッコミ返し【TBSラジオ問題】としてtogetterに記事がある。この時には町山氏と日垣氏が直接やりとりをしている様子はない。

プロローグ2 町山氏と豊崎由美氏がAmazon自作自演騒動について会話しているところへ日垣氏が割り込む

この件は町山智浩氏、日垣隆氏を褒めたら罵倒されるの途中までに記録されている。この時には日垣氏が町山氏に人違いをして詰問し、日垣氏は誤りを認め謝罪したようだが、その後フォロワーと町山氏について会話している。なお当該フォロワーのツイッターアカウントは現在存在しない。一方町山氏もフォロワーと日垣氏について会話している様子が残っている。

プロローグ3 町山氏、締め切り26本について確認する

町山氏は日垣氏の「明日の締め切り26本」発言を知る。通常出版社は日曜日に締め切りを設定することはないこと、及び日垣氏の記事が発表されるペースから考えて締め切り26本は多すぎることから町山氏は疑問を感じ、日垣氏に掲載媒体を確認する。この件については地獄のミサワか?w 1日に締め切り26本の原稿を抱える日垣隆先生、町山智浩氏に「喝!」に記録されている。

結局この件については日垣氏が「すべて6月20日前後に出ます。」とツイートしたものの、雑誌なのか単行本なのか等は明らかにされなかった。またその後「講談社の原田さん。Twitterから失礼します。あす日曜日締め切り全26本の締め切りには、万全を期して臨みます。」とツイートしているため、この時点で締め切り26本はすべて講談社との仕事であり、一人の編集者によって担当されていることがわかった。

プロローグ3の疑問点

『情報への作法』刊行までの経緯で述べたように、おそらくこの締め切り26本とは『情報への作法』各章への補遺であったと推定される。なお、『情報への作法』のあとがきを見ると担当編集者は原田隆氏と書かれている。同じく『情報への作法』刊行までの経緯で述べたように、結果的にこの締め切り26本は守れなかったようだが、なぜこの時に「旧作を再文庫化するので、その補遺の締め切りである」と答えなかったのだろうか。

5刷発言

その後両者は言い合いになる。その様子は日垣隆さん『リアル書店では(新刊の)売り上げ順調』←町山智浩さん『日垣先生、(リアル書店で)売れてないそうです』に記録されている。この言い合いの中で、町山氏の「4月28日に出た新刊が既にアマゾンで4万位以下に落ちてる同業者に嫉妬はしませんよ。」という発言に対し、日垣氏は「Amazonに馴染まない本もあるのですよ。ではなぜ一カ月で5刷に?」と発言する。これが5刷発言である。なお日垣氏はこのツイートを後に削除している。いつ削除されたのかは明らかになっていない。しかし、上記のtogetterの記事にそれは残っているし、hiwihhiふぁぼったーにも発言が記録されてしまっている。

普通ならば発言を削除するということは、その発言を撤回したとも考えられる。しかし、その発言が削除されていることが周知されたのは少なくとも発言から1週間以上経ってからであり、その後も日垣氏が発言を撤回した様子は見られなかった。

発言の反響

対象の本『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』は5刷どころか2刷の発見報告もなかった。私は講談社広報室、及び週刊現代編集部(当該書籍の奥付に編集部の電話番号が書いてあるが、これは週刊現代編集部のものである)に電話をして増刷状況確認をしたが、増刷されておらず発行しているのは初刷(第1刷)のみとすぐに回答して頂いた。なお、増刷状況については社外秘などではなく、講談社の社員はそれを知ることができるし、問い合わせれば誰でも回答してもらえるはずだ。

町山氏、5刷に懸賞金をかける。日垣氏、送ったと主張する

この件については現代版竹取物語!町山「日垣新刊の5刷目、100万円で買うよ」日垣「オッケー送るわ」【現在進行中】(@TomoMachi @hga02104)を参照していただきたい。また、7月19日以降は7刷になったと主張している

5刷問題の問題点

日垣氏は5刷を主張した。私は講談社に問い合わせ、増刷されていないことを確認した。ネット上では5刷どころか2刷も見つからないというユーザーからの報告が相次いだ。2刷以降が見つかったという報告はひとつも見つからなかった。増刷されていることを主張したければ奥付写真をアップロードして示せばよいのだが、それもなかった。私自身も当該の書籍を購入したが、やはり第1刷だ。これらのことから私は日垣氏の主張が虚偽であると判断した。

5刷問題を知っている人や、それについて発言しているユーザーの中で講談社に確認をとった人の割合は多くないと考えている。講談社に確認をとることを電凸と呼び、迷惑行為だと判断する人もいる。しかし、このようなことを確認しないとどういうことになるか。どうせ誰も確認しないからとデマ・嘘・騙し・ペテンが横行する事態を私は恐れている。

5刷発言で誰か被害を受けたか、迷惑を被ったかについては私は具体的に示すことはできない。しかし、これ以降、以前にも増して日垣氏の発言は著作の内容を含め、真偽を疑われることが多くなったと私は感じている。

参考資料

5刷問題@wiki
http://www47.atwiki.jp/gakkymatome/pages/23.html

週刊現代で連載中!!被災地を食い物にしている電子書籍(略)の日垣隆氏 @hga02104 がいう5刷があるのか講談社に聞いてみた音声が公開。 #denshi やっぱり嘘でした。
http://togetter.com/li/170266

【電子書籍】日垣隆スレ★45【日本一!?】http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1306745088/305-

【かわいいたこ】日垣隆スレ★46【エア5刷】 2011/06/09 - 2011/06/13
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1307589121/

以降の日垣隆スレッドは過去ログ集を参照していただきたい。

5刷問題その後

日垣問題年表を見てわかる通り、その後日垣氏は複数の事件をツイッター上で起こしている。記事では日垣氏の発言から主旨のみを取り出しているが、実際の発言を確認すればわかるとおり、日垣氏は言葉汚く周囲を罵っている。これらにより問題となる論点は増え続け、日垣氏に対する批判・非難は加熱し続けた。主な問題のみ年表に記載したが、仙台の被災者を罵倒したことなどは年表に記載していない。年表を見て、さらに他にどんなことが起きたのか知りたい方はtogetterを日垣隆タグで検索するなどして各自確認していただきたい。

著作の記述に対して疑義を呈したり、虚偽や捏造・矛盾を指摘することは主にamazonのレビュー・レビューのコメント・クチコミで行われている。現時点での主なもの(ページ数や参考資料を具体的に挙げており、簡単に確認できるもの)を以下に挙げておく。

『情報への作法』

『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』

『裁判官に気をつけろ!』

『こう考えれば、うまくいく。』

『少年リンチ殺人―ムカついたから、やっただけ』

『そして殺人者は野に放たれる』

最近では、こちらのレビューで指摘されているような「著作(記事)間での記述の矛盾」も見つかっている。他には、「リビア(北アフリカ)に行ったのは数日なのか、2ヶ月なのか」「兄が『発狂』したのはいつなのか。夏なのか、冬なのか」「火事にあったのはいつで、それはどの程度ひどかったのか?」などがある。これらがamazonのレビューで指摘されるかはわからないが、いずれ明確な形で指摘されるだろう。

2011/11/10

アーサー⇔トキワ荘Amazonレビュー事件

Amazon自作自演騒動で話題を呼び、『情報への作法』に☆5つレビュー(?)を投稿した「アーサー」による3回目の騒動が起きた。今回はハンドルネームを「トキワ荘」に変更し、日垣隆氏の著書ではなく初めて他人の著作にレビューを投稿したのだが、その顛末は大変興味深いものとなったので記録しておく。

2011年10月22日 土曜日

午前7時頃、アーサー(現トキワ荘)により日垣隆氏の著書『情報への作法』のAmazonレビューに対するコメントが投稿され、すぐに削除される。

ウォッチャーにより、コメントの公開名(ハンドルネーム)「アーサー」が「トキワ荘」として表示されたことが報告される。

アーサーによる『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』のAmazonレビューが消えたことが確認される。

Amazonのユーザー(ID:AYJF3GVXYQR47)のハンドルネームが「トキワ荘」になったり「アーサー」に戻ったりしていることが話題になる。

この現象はユーザーが自分でハンドルネームを切り替えている可能性も考えられなくはないが、おそらくAmazonのシステム側の問題であると推測している。実際に私もAmazonのアカウントサービスから自分のハンドルネームを変更してみた。変更してから数時間は何度もリロードすると変更したものが表示されたり、変更前のものが表示されたりした。

この様子は次の魚拓から確認できる。ユーザーID:AYJF3GVXYQR47を持つユーザーのハンドルネームが「トキワ荘」になったり「アーサー」になったりしている様子がわかるだろう。

参考資料: ユーザーID:AYJF3GVXYQR47のプロフィールの履歴(魚拓)

午前11時頃、アーサーにより町山智浩氏の著書『トラウマ映画館』に次のレビューが投稿されているのが発見される。

5つ星のうち 1.0 ある意味、すごい本!, 2011/10/22
レビュー対象商品: トラウマ映画館 (単行本)
町山信者が集団でヨイショしているだけで、内容はマイナーな映画ばかりで無内容。読む価値ゼロ。

参考資料: トラウマ映画館のアーサーさんのレビュー(魚拓)
※まだ公開されたばかりで、コメントなどがついていない状態(2011年10月22日 11時19分 記録)

午前11時25分、日垣隆氏がfacebookにAmazonのレビューについて投稿する。長いので引用しない。リンク先を確認していただきたい。

『トラウマ映画館』のレビューに対してはすぐに多数の評価とコメントが投稿された。レビュアーのハンドルネームはしばらくの間「トキワ荘」になったり「アーサー」に戻ったりしたが、数時間後には「トキワ荘」が安定して表示されるようになった。

参考資料: トラウマ映画館のトキワ荘さんのレビュー(魚拓)
※コメントや評価が投稿された後の魚拓(2011年10月23日 1時12分 記録)

2011年10月23日 日曜日

16時40分ごろ、トキワ荘=アーサー(ID: AYJF3GVXYQR47) による『トラウマ映画館』のレビューが消えていることが確認された。これで当該ユーザーのレビューはすべて消えたことになる。

しかし、レビュー一覧を表示する時に順番を「最近のコメント」に変更すると、削除されたレビューでもコメントのついたものは表示されるため、レビュー自体は消えてしまってもそれらを一覧できてしまう。

参考資料: トキワ荘さんが書き込んだレビュー 表示する順番:最近のコメント

これにより、『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』に「著者」と名乗ってレビューを投稿したユーザーが、『トラウマ映画館』にレビューを投稿したユーザーと同一であることがAmazonのサーバーに残ってしまうこととなった。

その他

トキワ荘により『トラウマ映画館』に「取材体験セ ロの」「うそつき」(及び「おたく」)というタグが付けられたことが見つかっている。こちらは見つけにくいので画像を添付する。画像は魚拓へリンクしているが、これは閲覧の利便性のためにそうしている。おそらくAmazonのサーバーにはこの情報は残り続けているだろう。

取材体験セ ロのうそつき

考察・その他

アーサーの不可解な行動は何だったのだろうか。
過去のレビューを削除し、ハンドルネームを変更して『トラウマ映画館』へ悪意のあるレビューを投稿したことから、おそらくは過去の自分の行動を消し、ハンドル名を変更することで別のアイデンティティとして『トラウマ映画館』へのレビューを投稿したかったのではないかと推測している。しかし残念ながらAmazonのシステム上、ユーザーのID(一意なキー)は変わらず、かつユーザーIDは明示されているためハンドルネームを変更してもユーザーIDで特定できてしまう。もしそのような意図があったとしたら、その試みは失敗してしまった。例えば、問題のユーザーのID AYJF3GVXYQR47を検索してみると、その証拠はあまりにもたくさん残りすぎている。

投稿したレビューも消されることを期待して投稿したのかもしれないが、実際は消されたレビューもAmazonのサーバー上には残っており、ハンドルネームを変更する前のものから一覧できてしまう(コメントがついたもののみ)。

さらに残念なことに、Amazonのシステム上の問題で、ハンドルネームを変更してもすぐに完全に切り替わるのではなく、反映されるまでに数時間かかる。その間、変更前・変更後のハンドルネームが両方表示されたことはウォッチャー達の笑いと混乱を呼んだ。

トキワ荘により『トラウマ映画館』につけられた「取材体験セ ロの」というタグはおそらく「取材体験ゼロの」という意味だと考えている。Amazonのタグには記号(例:?, ☆, !など)を含むことができない。おそらく半角カナで「ゼロ」と入力したところ「゙」が取り除かれたか文字化けを起こし、「セ ロ」になったと推定している。このことは当該ユーザーにより、「取材体験ゼロ」(Web魚拓) というタグが別途付けられていることや、こういったツイートこちらのツイートから推定される。

(『トキワ荘→懸垂二百回 Amazonタグ・コメント追加事件』に続く)

参考資料

【教授職を断り】日垣隆★73【クローズ講演】
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1318412919/845-

【アーサー】日垣隆★74【トキワ荘】 2011/10/23 - 2011/11/02
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1319301325/

2011/11/08

『情報への作法』Amazonレビュー自作自演騒動

2011年10月16日、Amazon自作自演騒動で取り上げたレビュアー「アーサー」により日垣隆氏の最新刊『情報への作法』に対する次のレビューが投稿された。

5つ星のうち 5.0 町山信者の断末魔, 2011/10/16
レビュー対象商品: 情報への作法 (講談社プラスアルファ文庫) (文庫)
好き嫌いと、評価の区別もつかないレビュアー、気の毒としか言いようがない。

レビューにはすぐに多数のコメントが付き、翌日10月17日(月)の9:40頃には削除された。

(『アーサー⇔トキワ荘Amazonレビュー事件』に続く)

参考資料

Amazon.co.jp: 情報への作法 (講談社プラスアルファ文庫)のアーサーさんのレビュー(魚拓)
http://megalodon.jp/2011-1017-0315-10/www.amazon.co.jp/review/R3CEZQB7V9ALQV

【教授職を断り】日垣隆★73【クローズ講演】
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1318412919/389-

2011/10/30

緊急日垣塾中止事件

日垣隆氏が自身の有料メールマガジン購読者向けに開いている「緊急日垣塾」というイベントがある。これの第7回が2011年10月29日に開催予定だったが、中止された。この計画から中止までが不可解であったため時系列に沿って記録する。

2011年8月28日

有料メールマガジン「ガッキィファイター」(第384-2号)が配信される。この号には「お知らせ」として今後のイベント日程が書かれており、10月29日(土)にイベントを行うことが告知されていた。

以下はメールマガジン第384-2号からの引用である。

□お知らせ
   ◆今年のイベント予定
(略)
  9月24日(土)  以下は内容未定。準備は順調! 
          いずれも12:59-17:00
 10月29日(土)
 11月19日(土)
 12月17日(土)

2011年10月17日

「聞かずに死ねない――難病患者から奇跡のメッセージ」というタイトルのイベント申し込みページが日垣氏の公式サイト上に作られていることが報告される。日時が10/29であること、メルマガ会員参加費が3,500円一般(非有料メルマガ会員)参加費が5,000円であることが確認された。

ページのURLからページ作成日は10月12日であると推定される。このページについてウォッチャーからの反応は以下のようなものであった。


2011年10月23日(深夜)

メールマガジン第391号が配信され、10月29日のイベントについて初めて告知される。以下はメールマガジン第391号からの引用である。

□重要なお知らせ
 ◆第7回緊急(ほんと緊急!)日垣塾
 「難病患者から奇跡のメッセージ
  きっと、あなたの人生も変わり始める」特別講座

  ~~難病と闘う青年を静岡からお迎えして、じっくりお話を伺いつつ、
  人生に意味はあるのか、という根源に迫ります~~
 (10月29日 土曜日12:59~16:00)
(略)
■お申込みは、こちらから
【約100人が会場の限界ですので、10月25日(火)までに是非】
  ↓
「難病患者から奇跡のメッセージ」(メルマガ会員専用)
 3,500円
 http://bit.ly/pBsVM4
(略)
■場所:戸山サンライズ(東京都新宿区)
  (地図) http://bit.ly/aJy3px
(略)

■講師(日垣からのインタヴューになるかと思います)
 池谷直士(いけや・なおひと)さん。
(略)
当方の準備に時間がかかり、本当に申し訳ありません。
開催までに1週間を切ってしまいました。
 お申し込みは、これから3日以内を目標に(できたら今すぐ!)お願いいたします。

このメールマガジンは目次のみ日垣氏の公式サイトで公開されている(トップページに公開されていた時の魚拓)

メール配信にかかる時間はそれぞれの環境で異なるが、着信は10/23(日)深夜~10/24(月)早朝になり、会員がメールを確認したのはおそらく早くて月曜日の朝になっただろう。火曜日までに申し込みをして欲しいというのは無茶ではないだろうか。なお、このイベントの告知はこれが最初で最後となったと思われる。少なくとも私は確認できておらず、報告もない。

申し込みページに書かれていた「聞かずに死ねない」というタイトルはどうかという意見があったが、メールマガジンではそのタイトルは採用されていなかった。しかし、申し込みページのタイトルはそのままであった。

2011年10月25日(深夜)

日付が10月26日に変わった頃、イベントの申し込みページに「お申し込みは終了いたしました」との文言が加えられ、申し込みができなくなっていることが確認された。bitlyのアクセス統計によるとその時点で会員用申し込みページに73クリックが記録されていることも確認された。

2011年10月29日

ウォッチャーにより会場の戸山サンライズでは「緊急日垣塾」というイベントは開かれていないことが写真付きで確認された。なお同日に当会場で開かれていたイベントは「JANNET研究会」と「東京ジャガー」であったことも確認された。

2011年10月30日

イベントの講師であった池谷氏のブログWeb魚拓)で緊急日垣塾は集客が芳しくなく中止となったことが知らされた。なお、日垣氏からはこの時点で中止となったことは告知されていない。少なくとも私は確認できておらず、報告もない。

問題点・疑問点

  • 告知が10月23日まで遅れたのはなぜか
    日程は8月に決まっており、会場も日垣氏がいつも使っている戸山サンライズであり、当日は会場にも開きがあった。したがって会場を抑えることができなかったからではなさそうである。
    テーマも10月12~17日には決まっていた。テーマを決めた後に講師のブッキングが遅れた可能性もあるが、池谷氏は10月20~25日の間入院しておりWeb魚拓)、10月23日にブッキングされたとは考えにくい。
  • 中止を告知しないのは問題ではないのか


参考資料

【教授職を断り】日垣隆★73【クローズ講演】
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1318412919/537-

【アーサー】日垣隆★74【トキワ荘】
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1319301325/

限定記事:日本テレビとの(間接的な)関係

http://secret.ameba.jp/higakimondai/amemberentry-11063231620.html

2011/10/28

限定記事:個人情報流出事件

http://secret.ameba.jp/higakimondai/amemberentry-11061532368.html

『情報への作法』刊行までの経緯

2011年9月20日に発売された日垣隆著『情報への作法』(講談社+α文庫)には、発売にまつわる興味深い出来事があった。この記事では本の内容ではなく、発売までの経緯について記録する。

本の内容紹介

この本は朝日新聞社の『RONZA』に1994~1997年にかけて連載されていた短編ルポ25本をまとめたものである。最初に単行本『情報の技術』(朝日新聞社)として1997年に出版され、2001年に『情報系 これがニュースだ』(文春文庫)として文庫化された。今回は2度目の改題・文庫化となる。

三ヶ月の刊行延期

当初この本は『情報の奥を読む技術』として、2011年6月20日に発売予定であった。しかし発売予定は7月20日に延期になり、さらに延期されて9月20日に発売された。このことは以下3つの参考資料からわかる。

太洋社 文庫発売予定 2011/06月分
http://www.taiyosha.co.jp/bunko/bunko1106_han1.html
『情報の奥を読む技術』として6月20日に講談社+α文庫から発売予定であったことがわかる。

情報への作法 (講談社+α文庫) (魚拓)
http://megalodon.jp/2011-0826-0959-09/www.amazon.co.jp/dp/4062814331/
『情報への作法』が6月20日に発売予定であったことがわかる。

1日締切26本の成果!日垣隆さん『情報への作法』の発売を祈願するまとめ
http://togetter.com/li/149796
7月20日刊行予定が取り消されたことがわかるが、元の情報は失われてしまっている。

締め切り26本

日垣氏は、今回の再文庫化に伴い加筆を行うことになっており、その加筆部分はおそらく5月16日(月)の朝が締め切りであったと思われる。それは前述の「1日締切26本の成果!日垣隆さん『情報への作法』の発売を祈願するまとめ」にまとめられている先頭2つのツイートから推定される。また、日垣氏による次のfacebookノートも残されている。

明日は地獄の千本ノック 作成: 日垣隆 日時: 2011年5月13日 16:38
http://www.facebook.com/note.php?note_id=216583181703382

加筆はまえがきとあとがきのみ

先のまとめにも取り上げられているが、日垣氏は5月7日の時点で再文庫化に際し改訂・加筆を行うことになっていたことが伺える。

http://twitter.com/hga02104/status/66550805276274689
文庫の改訂版。大量の加筆。が、絶版が初版数万部で蘇るのは、嬉しいこと。印税は電子書籍の10分の1だけれども、やっぱり紙で読んでもらいたい、その本はとくに。6月20日刊。原稿締め切りと、大阪での婚活パーチが同じ日。ううむ。

ところが、実際に発売された『情報への作法』にはまえがき・あとがきのみの加筆であった。以下は『情報への作法』文庫版のためのまえがき(4~7ページ)からの引用である。

この文庫の刊行に際し、柄にもなくずいぶん長いこと迷ってしまいました。各章には、もともと執筆当時の補足的コメントが入っていたのですが、これに最新のコメントを加えるかどうか、を――。

何度も何度も書いてみました。その結果、現時点での補足は、蛇足としか思えなくなってきたのです。

(中略)

私は、どの章にも新たに書き加えるべき言葉を必要としないと判断するに至りました。

その頃、何をしていたのか

日垣氏が当初に設定されていた5月16日の締め切りを守ることができそうもないと考えていたことは、ここまでに参考資料として挙げた日垣氏の発言より伺える。本当のところはわからないが、発売が延びたのは締め切りを遅らせたのかもしれない。ところで、締め切り前後に日垣氏は何をしていたのだろうか。

ツイッターでこのようなことになっていた。

地獄のミサワか?w 1日に締め切り26本の原稿を抱える日垣隆先生、町山智浩氏に「喝!」
http://togetter.com/li/135378

絶賛更新中!映画評論家【町山智浩】 vs 作家【日垣隆】(日垣☆自演乙☆隆) 『アーサー追う物語』 電脳本土決戦編!!
http://togetter.com/li/135878

Mr.日垣隆 presents ネバーエンディングストーリー2011 @hga02104
http://togetter.com/li/149400

「ネットは1日30分以内」日垣隆(@hga02104)さんの時間の使い方を見習おう
http://togetter.com/li/149313

【地獄のミサワ?】日垣隆(@hga02104)さんの寝てない自慢
http://togetter.com/li/146244

『ご冗談でしょう、ガッキーコングさん』 日垣☆自演乙☆隆氏による議論の本筋を無視した人格攻撃の数々をまとめました。哲学。
http://togetter.com/li/137011

『失敗しても、未遂ではない』のガイドライン
http://togetter.com/li/137036

日垣隆先生の多忙な日々
http://togetter.com/li/135795

この時期、日垣氏のツイッター利用頻度は凄まじく、数多くのまとめが作られた。これら以外のものは右の「リンク」にある「日垣隆まとめ (togetter)」から見つかる。

ポタージュ集

日垣氏の公式サイトでの『情報への作法』販売ページWeb魚拓)に表紙裏の紹介文が載っているが、これが

た、永遠に読み継がれるべき25本の
ポタージュ集である。

となっており、ウォッチャー達の笑いを誘った。このことは唐沢俊一検証blogの2011年10月1日の記事でも取り上げられている。

反響

Amazonのレビュークチコミ等を参照してください。

2011/10/26

Amazon自作自演騒動

ツイッター等インターネットの世界で日垣隆氏は「アーサー」「自演先生」「日垣☆自演乙☆隆」などと呼ばれている。これは日垣氏がamazon.co.jpで「アーサー」というハンドルネーム(Amazonでは「公開名」という)を使い自著に対し星5つのレビューを投稿していたとされていることに由来する。この記事ではこの問題の事実関係を記述する。

2011年5月6日

アーサーにより投稿された次のAmazonレビューが公開され、すぐに2ちゃんねるやツイッター上で話題になる。レビュー対象商品は日垣隆氏の近著『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』である。発売日である4月28日の翌週であった。

5つ星のうち 5.0 こんなレビュー許されるのか。, 2011/5/6
レビュー対象商品: 電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。 (単行本(ソフトカバー))
許されるのでしょうね(笑)。完全な逆恨み。気の毒な小心者。面と向かって言えない東電社員。
読みもしないで。20万人の本物の読書人に読まれたい。つりあいとれるよう、
不本意ながら、卑劣すぎるので星つけさせてもらいます。著者。

レビューの最後に「著者」と名乗っていることにより騒ぎになったが、それ以上に問題があることがすぐにわかった。Amazonのレビューでは公開名とそのユーザーがこれまでに投稿したレビューが紐づいているのだが、アーサーがこれまでに投稿したレビューはすべて日垣氏の著作であり、またすべて星5つの絶賛レビューであった。アーサーがそれまでに星5つのレビューを投稿していた商品は『ラクをしないと成果は出ない』『知的ストレッチ入門』であり、『知的ストレッチ入門』は発売翌月 (2010年4月6日) に、『ラクをしないと成果は出ない』は発売日の4日後 (2008年5月27日) にそれぞれレビューを投稿していた。

参考資料: アーサーにより投稿されたレビューの一覧(魚拓)

2011年5月8日

日垣氏はツイッター上でユーザーに詰問され、「アーサー」によるレビューが自身によるものであることを認める。発言を次に引用する。赤字部分が日垣氏の発言である。

http://twitter.com/hga02104/status/66981677494321152
★一つをつけた私怨と嫉妬のReview、Amazonのためにもなりません。そうだんして、著者として抗議しました。あなたも本質的問題を少しは考えたら。仕事がないの?RT @kasatoku@hga02104が自著を本人がレビューして星5つつけてらっしゃる。偽物ですよね?先生。

http://twitter.com/hga02104/status/67046574043316225
常岡の薄汚い嫉妬の塊のReviewに鉄槌を下しただけ。AmazonのReviewなど、どうでもよろしい。拉致ごっこプー太郎へ。RT @shamilsh ううっ!心から切ない気持ちになった。自分で自分の著書をレヴューして5つ星をつける日垣さん。やはりこの人はすごい!

続いて、アーサーによる『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』のレビューがAmazonから消えた。ユーザーからの違反の報告により消されたのか、アーサーが自ら消したのかはわからない。尚、著者による宣伝目的のレビュー(及び他のレビューに対するレビュー)の投稿は次のようにAmazonにより禁止事項とされている。

参考資料: レビューガイドライン(更新日:2011年9月12日), 以下引用

禁止事項
カスタマーレビューは、商品に関する意見や感想を自由に公開できる場です。Amazon.co.jpでは、健全なコミュニティを維持するために禁止事項を設けています。せっかくお書きいただいたレビューでも、次の内容および行為を伴うレビューまたはコメントの掲載は削除の対象となりえますのでご了承ください。

(略)

  • 著者や出品者等による、商品を宣伝する営利目的での投稿

(略)

  • サイトの同一ページ上で閲覧できる他のレビューに対するレビュー (サイト上に掲載される内容は適宜変更されるため)

しばらくして、アーサーによる次のレビューが掲載される。

5つ星のうち 5.0 こんなレビューはアマゾンを破壊する。, 2011/5/6
レビュー対象商品: 電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。 (単行本(ソフトカバー))
たった2行で、罵倒するレビュー。
そしてまた、読みもしないで、「ウソ」と断じるレビュー。
根拠はすべて詳細に本の中に示してあります。

だいたい、電子書籍に最も熱心な講談社が、そのあたりをチェックしないわけないでしょう。

ただただあきれるばかりです。

著者として☆をつけるのは躊躇しますが、本人が一つや三つをつけるのはむしろ不自然ですし、
自分で完成させた時点で、これで万端という思いから脱稿したわけですから、
また、このレビューを乗せるのに☆をつけざるをえないので、
5つをつけます。私怨に基づく☆一つ、というのは慣れていますので、気にしませんが、
いくらなんでも、ここまでモラルハザードと嫉妬が蔓延、という事態には少々嫌気がさしております。

著者

程無くして、上記のものを含むアーサーによるすべてのレビューが消えた。

2011年5月10日

三たび、アーサーによる次のレビューが掲載される。

5つ星のうち 5.0 今年最高の収穫, 2011/5/6
レビュー対象商品: 電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。 (単行本(ソフトカバー))
なぜ、25年も前から、著者はデジタル化を予言し、ためらわぬ試行錯誤を、フロントラインで繰り返してきた。そして、ついに、宣伝費も大御所の電子書籍の売り上げを、180点のオリジナル電子書籍よ総合戦で断然トップ。
その根拠も詳しく述べられており、そのオリジナリティに脱帽。
紙の本との、バランスもよいし、本書でも日垣節は健全。
よく、ここまで書いたもの。
今年最大の収穫。フリーという生き方に憧憬を抱く。
ビジネスパーソンには最高のビジネス書にもなっている。

参考資料: アーサーのレビュー『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(魚拓)

2011年5月11日

日垣氏、ツイッター上でユーザーに詰問され、Amazonのレビューはスタッフが投稿したものだと発言する。

http://twitter.com/hga02104/status/68012592316162048
Amazonが何度も消すので、義憤にかられたスタッフが投稿。ま、ありがたいこと。他のレビューは本を読んでないことが明白。男の嫉妬は気持ち悪い。RT @UmaMurak 結局、このamazonのどうしようもない自演レビューはなんなんですか?答えられないんですか?

問題点

  1. 著者が星5つのレビューを投稿した。Amazonには著者からのコメント・出版社からのコメントを表示する仕組みが既にある
  2. 過去にも自著に対し、一般顧客を装って星5つの絶賛レビューを投稿していた
  3. 最終的に『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』にも著者と名乗らず星5つの絶賛レビューを投稿した
  4. 当初は自身でレビューを投稿したことを認めたが、後にスタッフがやったと言を翻した
  5. 作家であるにもかかわらず、レビューの日本語が変で意味不明である
  6. 『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』に対して最初に投稿したレビューは次のレビューに対する反論あるいは抗議であろうと推定されるが、なぜか相手を「東電社員」と決めつけており、ツイッターでの発言では常岡氏と断定している

補足

アーサーによる『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』のレビューはいずれも日付が 5/6 になっている。これが実際はどのような順番で投稿されたのか、またどうして前のレビューが消えた後に以前に投稿したレビューが表示されたのかはわからない。

アーサーによる『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』のレビューは2011年10月22に消える。そしてこの後ある事件が起きる。

(『「情報への作法」Amazonレビュー自作自演騒動』に続く)

参考資料

アーサー(ID: AYJF3GVXYQR47) により書きこまれたレビュー
http://www.amazon.co.jp/gp/cdp/member-reviews/AYJF3GVXYQR47?sort_by=MostRecentComment

★自演乙★日垣隆先生がamazonで自画自賛レビューをして炎上ちう。
http://togetter.com/li/134136

【リビア被災地】日垣隆・総合スレ★35【脳内訪問】
http://logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/books/1301318448/

【自演レビュー】日垣隆・総合スレ★36【三陸沖】
http://logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/books/1304670178/

【降臨】日垣隆とやらが自らの著書に5つ星でアマゾンレビューを投稿し話題に
http://logsoku.com/thread/hatsukari.2ch.net/news/1304832889/

2011/10/08

クレドPDF流出事件

2011年8月30日、前の記事で示した「mitsumisa's Public Timeline」に3つのファイルへのURLが追加された。PDFファイルがひとつと、音声ファイルが2つであった。音声ファイルは27日に開かれたクレド会員限定の勉強会の模様を録音したものであり、PDFファイルはそれを文字起こしした議事録である。

翌31日早朝、それらの短縮URLが2ちゃんねるの日垣隆スレッドに貼られた。これらのファイルは多数のユーザーにダウンロードされ、9月3日の朝にダウンロードできなくなったことが確認された。bitlyのアクセス統計によるとファイルがダウンロードできなくなるまでにPDFファイルには900弱のアクセスがあったようだ。

どうして公開されているファイルを削除(または移動)したのか?問題視されている他人の著作や有料のPDFがダウンロードできる状態にあったのは放置していたのに?

推測だが、クレド会員からのクレームがあったと思われる。なぜならこのPDFには参加者の写真や、クレド会員の個人情報が含まれていたからだ。

このPDFは議事録であるから、発言者の名前と発言が記されている。可笑しいのは、ドキュメントの最後の方で流出を想定して発言者の名前は下の名前のみとすることを断っているのだが、本文を読むと個人が特定できてしまうのだ。福岡のA新聞の記者、元リクルートで現在は大阪在住、M新聞関係の仕事もしているマーケッター、西日本出身のインテリアデザイナー等…。その場にいない方で、おそらくクレド会員ではないのだろうが、個人が特定できる状態で家庭の問題を暴露されている方もいる。断りを入れている所を読むと、このドキュメントはクレド会員に配布するつもりだが、彼らに対しては秘密厳守とするものの、友人に転送されてしまうかもしれない、程度の流出を想定していたようだ。まさかこれ程の流出になるとは考えていなかったのだろう。

9月3日に議事録・音声ファイルは削除され、無料でダウンロードし放題だった有料のPDFも削除された。そして日垣氏はこれまでとりあげてきたハッカー被害発言をする。

ここからはまた推測だが、問題を知ったクレド会員が日垣氏または担当者に個人情報流出を指摘し、あわせて以前から知っていた有料PDFの流出も伝えたのではないだろうか。そして日垣氏側はそれを受けて対処したのではないだろうか。

日垣ウォッチャーの反応としては、議事録には日垣氏が「ここでしか手に入らないモノやコト」としている品目が載っていたことや、いわゆる「話のネタ」が2001年から何度も使われたもの(新大久保の列車事故及びホテルのプールで女性を助けた話:)であったことなどが興味深かったようだ。

なお問題のPDFはGoogleのキャッシュに残っており(要Googleアカウント)、Googleドキュメントに保存することで元のPDFもダウンロードできる。

参考資料1

【SOREHA】日垣隆スレ★65【女性もそうなのかぁ】
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1314605439/559-

【×ソマリア】日垣隆スレ★65【○エアリア】
http://logsoku.com/thread/hato.2ch.net/ebooks/1314862553/

参考資料2

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2011/10/03

有料PDF URLダダ漏れ問題

日垣隆氏の公式サイトではPDF(電子書籍)を販売しているのだが、電子書籍をクレジットカードで決済するとURLが送られてくる。このURLからは認証なしでセキュリテイのかかっていないPDFファイルがダウンロードできる。このことは以前の記事で述べたので詳しいことはそちらを参照してほしい。

このURLがネット上に流出し、誰でもファイルがダウンロードできることが明らかになった。さらにGoogleのロボットにクロールされ、データはGoogleにキャッシュされた。サーバー上のファイルはクレドPDF流出問題後に移動(削除)され、日垣氏の管理するサーバーからはダウンロードできなくなった。しかしそれでもGoogleで検索してクイックビューなどキャッシュを参照することで依然としてPDFがダウンロードできる状態が続いた。現在はキャッシュも消え、ダウンロードできない状態になったので、この記事を書くことにした。

流出したそれらのURLはこういったものだった。

  • 対談集(主にサイエンス・サイトークでのインタビューを文字に起こしたもの)の場合
    http://www.gfighter.com/images/shop/taidan_対談相手の名前.pdf
    例)山形浩生氏へのインタビューの場合
    http://www.gfighter.com/images/shop/taidan_yamagatahiroo.pdf
  • それ以外(絶版本・小冊子等)
    http://www.gfighter.com/images/shop/書名.pdf または
    http://www.gfighter.com/images/images/
    書名.pdf
    例)偽善系 http://www.gfighter.com/images/shop/gizenkei.pdf
    偽善系2 http://www.gfighter.com/images/shop/gizenkei2.pdf

つまり、URLには規則性があり、いくつかのURLを知っていれば、他のPDFのURLも十分に推測可能なものであった。ということは、流出のきっかけとなったのは、日垣氏公式サイトで(いくつかの)電子書籍を購入した顧客が問題に気づき、流出させたと考えることもできる。

しかし、私の知る限り最も早く多くの情報を流出させていたのは、次のページである。

mitsumisa's Public Timeline
http://bitly.com/u/mitsumisa

このページはbitlyを使った短縮URLサービスのユーザーページで現在15ページあるが、ここには問題のPDFがダウンロードできたURLが多数登録されている。最初にPDFのURLが登録されたのは2010年6月、そして2010年12月からはPDFのURLが増えている。しかし、登録されているページや時期が妙なのだ。例えば、第7回会緊急日垣塾のページなど、公開されていないページのURLが登録されているのだ。他人の著作を自炊して公開問題で取り上げた「問題のPDFファイル」のURLも2011年6月7日(問題が2ちゃんねるで指摘されるひと月以上も前である)に登録されており、Info Page+ を見ると登録された直後に多数のユーザーが短縮URLにアクセスしている。また、緊急日垣塾の模様を撮影した写真のURLもイベント翌日に登録されている。そして、日垣氏のメールマガジンで使われている短縮URLの一部はこのユーザーによって登録されたものなのだ。

このmitsumisaというユーザーは何者なのか?

mitsumisa 日垣隆で検索してみると、どうやらそれらしい人物がヒットする。ただし、この人物がこの短縮URLサービスのユーザーであると特定・断定することはできない。しかし、先に書いたことによりこのmitsumisaというユーザーは日垣氏のスタッフであると推定している。つまり、故意であるか不注意かはわからないが、情報を漏らしていたのは日垣氏のスタッフであったのではないか。

以前の記事でも取り上げたが、日垣氏はこのダダ漏れ問題について2011年9月3日にfacebookで次のコメントを残している。

今朝は、私の公式サイトがハッカー被害にあい、有料コンテンツを無料にして新たなリンクを貼る(これは窃盗罪です)などをされました。メッセージでの嫌がらせから、犯罪の領域に入ってきています。

実際はサーバーを不正に操作されたなどということはないだろう。URLが流出していたのは一年以上前からであり、2011年7月には2ちゃんねるやツイッターでは公然の秘密であった。「今朝は」などという短い期間の話ではない。問題となる情報は内部スタッフによって漏えいしていたと推定される。仮にそうでない場合は日垣氏のいう「窃盗罪」の有力な容疑者はこのmitsumisaというユーザーになってしまう。

時系列を以下に整理しておく。

2010/06 bitlyユーザーmitsumisa氏により日垣氏サイトのPDFへの直接リンクが登録され始める
2010/12 mitsumisa氏によるPDFのURL登録が増え始める
2011/06/07 他人の著作をPDF化したもののURLがmitsumisa氏により登録される
2011/07/27 ダダ漏れ問題・他人の著作を自炊して公開問題発覚
2011/08/31 クレドPDF流出問題発覚
2011/09/03 日垣氏のサーバーからファイルが移動(削除)されダウンロードできなくなる。facebookで日垣氏「ハッカー被害」発言
2011/09 しばらくはGoogleのキャッシュからダウンロード可能だったが、徐々にキャッシュが使えなくなる。9月末には有料のPDFはすべてキャッシュから消える

(『クレドPDF流出事件』に続く)

2011/09/30

他人の著作を自炊して公開問題

この問題は、作家の日垣隆氏が自身が著作権を持たない、また権利者から配布を許諾されていない書籍をPDF化(電子化・自炊)し、誰でもダウンロードできる状態でWebサーバー上に配置していたことが明らかになった、という事件です。

この件については大石英司氏のメールマガジンで取り上げられているので、ここに紹介します。

大石英司の避難空港 7/30,7/31,8/2号
http://melma.com/backnumber_173916_5249832/
http://melma.com/backnumber_173916_5250610/
http://melma.com/backnumber_173916_5252170/

私もこの問題について権利者である著者と、それからナツメ出版編集部の担当者I氏にコンタクトしました。問題のファイルをダウンロードできるURLを教えたところ、著者からはすぐに「まったく知りませんでした。ナツメ社さんとも相談してみます。」とのお返事をいただきました。許諾していない、ということでしょう。

ナツメ社の方は少々時間がかかったり難儀しましたが、会社組織として対応しているのでしょうから止むを得ないでしょう。結局許諾していないという返答をいただきました。

先ほどこの記事を公開する前に再度問題のURLにアクセスしてみましたが、未だにそのファイルは日垣氏公式サイトのWebサーバーからダウンロードすることができます。この問題が指摘されたのは2011年7月27日ですから、すでに問題の発覚から2ヶ月以上経過しているのに何の対処もされていないことになります。

ナツメ社と日垣氏との間でどのようなやり取りがあったのか、あるいはなかったのか私は知りません。この問題ではナツメ社は被害者です。著作権法により著作権侵害は親告罪とされているので、ナツメ社が何もしない限り日垣氏は何のお咎めも受けません。

この問題で日垣氏がどのような発言をしているかを知りたければ、日垣 ナツメで検索してみるとよいでしょう。facebook上でいくつかの発言を私は見ましたが、それらは後に削除されました。

日垣氏が知っているのか知らないのかどちらにせよ、公式サイトの代表者は日垣氏です。この問題について対応しなければいけません。自身が著作権を持つファイルの流出には遅まきながら対処した(この件は後の記事でとりあげます)のに、なぜこのファイルはダウンロードできるままで放置されているのでしょう?

この問題には、次のような疑問が残されています。

  • このファイルは誰によりWebサーバーに配置されたのか?
    この件についてはほぼ判明しています。このブログで今後触れていくでしょう。
  • このファイルの配布対象者は誰なのか?
    これは判明していません。bitlyのアクセス統計によると当該URLには200回以上のアクセスがあったことはわかっていますが、彼らからのリークは今のところありません。アクセスはしたものの、ファイルサイズが大きいので一度中断したり、後日リトライしたことも考えられるので、ダウンロードした人数=アクセス人数とは限りません。
  • ナツメ社から被害届は出ているのか?あるいは日垣氏に対して何らかのアクションはあったのか?
  • なぜ問題のPDFファイルはWebサーバー上から削除されていないのか?

(『有料PDF URLダダ漏れ問題』に続く)

2011/09/23

限定記事:セキュリティ問題に対するクレド会員の反応

http://secret.ameba.jp/higakimondai/amemberentry-11026557315.html

日垣隆公式サイト ガッキィファイターの販売システムとセキュリティ

日垣隆氏の公式サイト http://www.gfighter.com/(注:2012年1月にgfighter.netに変更された)では、「電子書籍」をオンライン販売している。トップページ左側のカラムからそれらしきリンクをクリックすると、おなじみのショッピングカートシステムで「電子書籍」を購入することができる。適当な商品の能書きを表示してみると、次の注意事項が表示される。

クレジットカードで決済完了されると電子書籍(PDFファイル)をダウンロードできるURLをメールにてお知らせいたします。

これはそのままの意味である。決済が完了するとメールでURL文字列が送られてくる。そのURLにブラウザでアクセスすると、PDFファイルがダウンロードできる。URLはhttp://www.gfighter.com/images/(サブディレクトリ)/(書名).pdfであった。URLにアクセスしても認証プロセスはなく、ダウンロードしたPDFにもDRMなどのセキュリティはかけれられていなかった。

詳しい人ならばここで驚くだろう。そして次のような疑問を抱くはずだ。そのURLが推測されたら?URLが流出したら?PDFにセキュリティがかかっていないということはコピーされてしまうではないか?それらの行為に対してどのような法的問題を問うことができるか?それでユーザーの信頼を得られるか?

日垣氏は有料メールマガジンによる読者の囲い込みと、さらに年会費10万円のクレド会という組織を作っている。このクレド会員等に送るファイルも認証なしでWebサーバー上に置き、ファイルにもセキュリティはかけられていなかった。つまりURLさえ知っていれば、あるいはそれを見つければ、誰でも情報にアクセスすることができる状態にあった。

このような管理体制のシステム上で、次の問題が起きた。

  1. 有償である電子書籍(PDFファイル)のURLが流出していた(通称ダダ漏れ問題)
  2. 日垣氏が著作権を有しない、また権利者から配布を許諾されていない書籍をPDF化(電子化・自炊)し、誰でもダウンロードできる状態でWebサーバー上に配置していたことが明らかになった(通称他人の著作を自炊して公開問題)
  3. クレド会員限定勉強会の様子を収録した音声ファイルと、それを文字におこしたPDFファイルを後日会員に配布する予定でWebサーバーにアップロードしておいたが、クレド会員に告知する前にそれらのURLが流出した。そのファイルには(参加者に限らず)個人を特定できる情報と、写真が含まれていた(通称クレドPDF流出問題)

このテーマ(公式サイトセキュリティ問題)ではこれらの問題を扱っていきたい。なお、前述した疑問については、次のように考えている。

  • そのURLが推測されたら? URLが流出したら?
    URLは流出していた。また十分に推測可能であったと考えている。そしておそらく流出したURLからは故意にあるいは偶然にファイルはダウンロードされていただろう。
  • PDFにセキュリティがかかっていないということはコピーされてしまうではないか?
    その通りであるが、コピーされて配布されている様子は今のところ見つけられていない。
  • それらの行為に対してどのような法的問題を問うことができるか?
    ユーザーに対して不正アクセス行為を問うことができないため、少なくとも不正アクセス防止法を適用することはできない。電子計算機損壊等業務妨害罪を適用する可能性も考えられるが、法律が想定しているセキュリティレベルに達していないと推定されるため、その可能性は低い。
  • それでユーザーの信頼を得られるか?
    少なくとも私は個人として2度とこのサイトで商品を購入したくないと考えている。またこの問題に対して批判的な意見は見られるが、肯定的あるいは擁護する意見を見たことはない。

日垣氏はこの問題について2011年9月3日にfacebookの個人ウォールで次のようにコメントしている。

今朝は、私の公式サイトがハッカー被害にあい、有料コンテンツを
無料にして新たなリンクを貼る(これは窃盗罪です)などをされました。
メッセージでの
嫌がらせから、犯罪の領域に入ってきています。

ただし日垣氏の公式サイトではこの問題について今のところ一切言及されていない。つまり実際の顧客への説明はしていないということだ。また上記のコメントもここまで書いてきた事実と食い違っていることに気づくだろう。「有料コンテンツを無料にして」とはどういう意味か?「新たなリンク」とはどういう意味か?認証について触れないのは何故か?問題が起きた時点で問題のサイトはどのようなセキュリティを実装していたのか?

多少なりとも知識のあるユーザーであれば容易に推測できるであろうから、あえて詳述はしない。日垣氏の発言に注目していただきたい。

(『他人の著作を自炊して公開問題』に続く)

2011/09/19

『情報の技術』のPDFは何部売れたのか 『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(講談社)編

この記事を理解するためには、前の記事に書かれている次のことを理解しておく必要があります。

  • gfighter.comではひとつのPDFを1000部/月しか売れない
  • 『情報の技術』の販売開始時期は2009年10月~2010年1月

 

『情報の技術』のPDFは2011年4月時点で×万部売れたとされている

日垣隆著「電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。」の p.29~30に次の記述があります。

私が95年から96年にかけて月刊誌に連載した、「情報の技術-インターネットを超えて」(朝日新聞社)という本があります。書籍の発売は97年です。その後、文春文庫で「情報系 これがニュースだ」となり、それなりの数がうれました。しばらくして、出版社の都合もあり、絶版扱いになってしまいます。仕方ないですよね。
(中略)
そんな本が、絶版のまま読者に届かない状況を座視しているのは、この業界にいる者としてまさしく不届き。私は自らのサイトでPDF化して売ることにしました。PDF化にかかった費用は1500円程度です。専門業者に依頼しました。サイトで売るPDFの定価は1部1500円に設定したので、1冊売れれば元を取れる計算になります。しばらくして、売り上げが順調なことを聞いた出版社の方も、我がことのように喜んでくれました。
ところが、「×万部を超えました」と話した瞬間、気まずい沈黙が(笑)。

講談社のサイトより、この本の発行年月日は2011/4/28です。したがってこの文章はそれ以前に書かれたことになり、そして書かれているエピソードは文章に書かれる前に起きたことになります。
ちなみに前の記事で触れている日刊サイゾーの記事の公開日は2010.07.21となっており、この記事では問題のPDFが売れた数は「10万部以上」となっていますが、その9ヶ月後に発売されたこの本ではそれを「×万部を超えました」と表現しています。そのことは指摘しておくに留めます。

上記の記述から『情報の技術』のPDFは2011年4月以前に販売部数が×万部を超えたとされていることがわかります。
この「×万部」の×には何が入りうるのかを検証していきます。

「×万部」の×には1しか入り得ない

2009/10~2011/4までは3+12+4=19ヶ月あります。
gfighter.comではひとつのPDFを1000部/月しか売れないという注文数制限がありますから、19×1000=19000となり最大でも19000部しか問題のPDFを販売する事はできません。 システム上(あるいは契約上)販売可能な最大数であり、加えて期間もかなり甘くとっていてもこの数字になります。
すなわち、×には最大でも1しか入りません。0もありえますが、「0万部を超えました」とは言わないでしょうから、ここには1以外の数字は入りません。

結論と疑問点

問題の「×万部を超えました」は1万部しか該当せず、2万部以上は該当しないことがわかりました。問題の書籍『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(講談社)には次の疑問が残ります。

  • システム上1万部台が限界なのに、それを「×万部を超えました」と表現したのは何故か
  • 日刊サイゾーの記事では「10万部以上」としていたのにそれを「×万部を超えました」と変更したのは何故か
  • 問題のPDFは本当はいったい何部売れたのか

参考資料

小飼弾「私の友人に日垣隆(ひがきたかし)さんというライターの方がいるんですけど、ただのPDFファイルを1万部売ったんですよ。」― 慶應義塾大学SFC研究所 プラットフォームデザイン・ラボ主催シンポジウム「電子書籍ビジネスの未来」(2010年4月13日)USTREAM中継アーカイブより
http://www.ustream.tv/recorded/6153012/highlight/219294

「電子書籍の衝撃」の衝撃 - 小飼弾(2010年4月8日)
http://agora-web.jp/archives/978645.html
※「日垣隆氏は「単なるPDFファイル」を一万部以上売ったそうです」という箇所が日垣氏のツイートにリンクされているが、リンク先は存在しない。

2011/08/29

『情報の技術』のPDFは何部売れたのか 日刊サイゾー編

『情報の技術』のPDFは2010年7月時点で10万部売れたとされている

日刊サイゾーに次の記事がある。

"知の暴君"日垣隆氏がサイゾーに降臨 Web3.0時代を語る!
http://www.cyzo.com/2010/07/post_5039.html

この記事内に、次の記述がある。

――日垣さんの著書は、時代を経ても読み続けられる"寿命"の長さが特徴です。『情報の技術』(97年刊、朝日新聞出版)を最近PDFで配信したところ、10万部以上売れたお話は有名です。

この『情報の技術』とは、次のページで購入できるPDFファイルのことである。

電子書籍版 情報の技術
http://www.gfighter.com/00042/20100110001359.php

また、日刊サイゾーの当該記事の公開日は2010.07.21となっている。

gfighter.comではひとつのPDFを1000部/月しか売れない

上記の「電子書籍版 情報の技術」のリンクを開き、商品をカートに入れるとショッピングカートの画面が表示される。その画面には「- secured shopping cart by E-SHOPSOLUTIONS.COM -」と表示されている。URLもe-shopsolutions.comである。つまり、このサイトは注文・決済にe-shopsolutions.comのサービスを使っている。このサービスの規約は次のページに記載されている。

【サービス規約】
http://www.e-shopsolutions.com/kiyaku.html

このページを見ると、次の記述がある。

このサービスの対象とするホームページは、個人や中小規模の会社が開設するものに限ります。月1,000件以上の注文があるサイトでのご利用はお断りします。

さらに、ショッピングカートの画面で商品の注文数を2以上の数字に変更し、「修正・再計算」ボタンをクリックしてみると1に戻る。これは、gfighter.comでPDFを注文すると、URLが送られてきて購入者はPDFファイルをダウンロードするためである(※1) 。つまり購入者が2つ以上注文する意味がないため、注文数を2以上にして注文することができないようになっている。
このサイトでは一回の注文で1部のみ注文でき、注文は月1,000件までという制限があることになる。従って、『情報の技術』を月に1000部以上売ることはできない

『情報の技術』の販売開始時期は2010年1月

前述の「電子書籍版 情報の技術」のURLを見ると、ファイル名が20100110…php となっている。つまりこのページは2010年1月10日に作られたということがわかる。(※2)
また、サイトから見ることができる以下のメールマガジンのバックナンバーに、次の記述がある。

第332-0号(1月24日配信)
http://www.gfighter.com/00302010/20100124001362.php
【6】私の代表作『情報の技術』について

第332号(2月1日配信)
http://www.gfighter.com/00302010/20100201001366.php
◆電子書籍『情報の技術』(2,650円→特価1,500円)

つまり、このPDFの販売が開始されたのは2010年1月末であることがわかる。(※3)
なお、上記メールマガジンの全文を確認したい場合は、メールマガジンの購読契約をすればバックナンバーを全て見ることができる。

期間内に何部売ることができたか それは7000部

「電子書籍版 情報の技術」の販売開始から、日刊サイゾーの記事が公開されるまでに、それを何部売ることができただろうか。

  • 「電子書籍版 情報の技術」の販売開始は2010年1月である
  • 日刊サイゾーの記事が公開されたのは2010年7月である
  • システムの制限により、販売部数の上限は1000部/月である

この3つの条件より、それは最大7000部である。

要点と疑問点

この件についての結論と疑問点は次の通りである。

  • 日刊サイゾーの記事ではPDFが10万部以上売れたとあるが、システム上7000部までしか売ることができない
  • 日刊サイゾーは10万部以上売れたという情報をどこから入手したのか
  • 10万部という数字は誤植ではないのか
  • 10万部という数字が正しいならば、どうやってそれを販売したのか

このことについては日刊サイゾーに2011年8月1日に指摘をしたが、8月28日現在、記事は訂正されておらず、返信もない。





脚注

(※1) 送られてきたURLのサイトにはアクセス制限はなく、PDFもDRMなどで保護されてはいない。
(※2) 現時点(2011年8月)で当該のWebサーバーはWindows 2000 Server, IIS 5.0, PHP5.1.4, Movable Typeでシステムを構築している。
(※3) 次のようなページがあるため、販売時期と告知時期は必ずしも一致しない可能性がある。しかし、期間を変更して計算しなおしても10万部を超えることはない(10万部販売するには8年かかる)ため、主旨は変わらない。

電子書籍版 情報の技術
http://www.gfighter.com/00042/20090702003343.php

その後の調査により、『情報の技術』のPDFの販売開始時期は2009年10~11月であることがわかった。メールマガジン321号(2009年6月8日)及び325号(2009年10月6日)に絶版本PDFの販売予告が載っていること、およびWaybackMachineに残っている最古のキャッシュが2009年11月3日付であるためである。

これにより、上記期間中に販売可能な部数はシステム上(契約上)最大1万部となるが、問題は10万部の真偽であるため、記事の主旨は変わらない。

参考資料

小飼弾「私の友人に日垣隆(ひがきたかし)さんというライターの方がいるんですけど、ただのPDFファイルを1万部売ったんですよ。」― 慶應義塾大学SFC研究所 プラットフォームデザイン・ラボ主催シンポジウム「電子書籍ビジネスの未来」(2010年4月13日)USTREAM中継アーカイブより
http://www.ustream.tv/recorded/6153012/highlight/219294

「電子書籍の衝撃」の衝撃 - 小飼弾(2010年4月8日)
http://agora-web.jp/archives/978645.html
※「日垣隆氏は「単なるPDFファイル」を一万部以上売ったそうです」という箇所が日垣氏のツイートにリンクされているが、リンク先は存在しない。

2011/08/24

女川原発5メートル発言

日垣隆氏は女川原発の立地について以下のような発言をしている。

facebookでの発言

○田 秀× 女川原発建設時に、ご出身の東北大学の代表として東電の社長にまで直談判されていたなんて、なかなかそんな学生いないですよ!日垣先生はお若い時から本物のジャーナリストですね!因みに直談判の際、東電社長はどういう反応だったのでしょうか?

日垣隆 先日土曜日の公開対談で、日本で最も原子力ー原発問題に詳しい毎日新聞の前環境科学部長で現編集委員の斗ケ沢さんをゲストに迎えた第六回緊急日垣塾ーー120人参加ーーでも、詳しくその辺りのことを話しました。斗ケ沢さんは、入社一年目から静岡支局で水爆実験ーー第五伏龍丸被爆事件ーーを皮切りに、うんぜんふげんだけ、阪神、新潟、チェルノブイリ、もんじゅ事故などなどを科学記者として取材してきたこともありますが、大学時代には恋人を取り合った(もちろん僕の勝ち)仲でもあり、かつ女川原発や学費値上げや、大学改革ーー教養部廃止の是非、なとなどを、私が一万人の選挙投票で選ばれる10自治会ある役員 の、それらをまとめる自治会連合の委員長を四期やりました。そのとき、斗ケ沢さんは親友として、また知恵袋として毎日議論していた仲でもありました。そのころのことは、一度書きましたし、今回の公開対談の記録は、来週にでもメルマガにて配信の予定です。長っ。

日垣隆 そういう次第てしたから、私は個人的に動いたのではなく、正式な学生代表として、社長や通産大臣に会う、というのは、わりと日常的なことだったのですよ。記者クラブもないし。大学生協の理事(有給)もしており、こちらは10人ほど。そのひとりに、ノーベル賞をとる田中耕一君も一緒に毎日議論したり、大会社や政府や知事と交渉したり、そういうことが普通の学生時代でした。いわゆる全共闘でもなく、この数年間だけがセクトにも左右されず、全員参加の学生自治会の突発的最盛期だったのだな、と今にして思います。全国の学生代表として、園田農林大臣(故人)などにも農業再生問題で、よく会いましたよ。そういう時代だったのですね。あんまり驚かれたので、そんな価値のあることなのか、と逆にびっくり。女川原発は、町民と一体となって交渉した結果、当初の計画より5メートル高台に建設されることになりました。

この発言はこちらで見ることができます。facebookのアカウントが必要です。発言の公開範囲は「日垣氏の友達の友達」になっています。友達申請が必要な場合は「日垣隆」をfacebookで検索し、友達になる申請をして許可されれば見ることができます。あるいは「日垣隆」と友達になっている人が自分の友達にいれば、見ることができます。

発言が削除される可能性もあるため、キャプチャ画像も用意しました。クリックで拡大します。
 女川原発1 女川原発2

twitterでの発言

hga02104が日垣氏です。日垣氏の発言で重要な部分を赤字にしています。

http://twitter.com/hga02104/status/93944946519838720
こちらは女川原発が建設する前からら、この問題に取り組んでいる。君たちは、私は何も知らないと、町山小僧の子分らしく言い募るが、一体幾つの被害現場に言っているのかな。ただの無知な狼少年ではないか。@ultimatemt4 @keiki22

http://twitter.com/ultimatemt4/status/94017476886675456
@hga02104 @keiki22 おまえは、なんができたんだ?それで女川原発がどうよくなったんだ?原発が停止できたのか?安全性が高くなったのか?負け犬の遠吠えか?それじゃなんの意味もないんだぞ。わかったか。日垣くん。あたまもうちょっと使おうよ。

http://twitter.com/hga02104/status/94086649998344192
5メートル高く建設されました。当初予定なら福島第一と同じになっていました。RT @ultimatemt4: @hga02104 @keiki22 おまえは、なんができたんだ?それで女川原発がどうよくなったんだ?原発が停止できたのか?安全性が高くなったのか?負け犬の遠吠えか?

つまり日垣氏は、自分は女川原発が建設される前から、「この問題」に取り組んでいると主張しました。それに対して問題に取り組んでいったい何の役に立ったのだと詰問され、「5メートル高く建設された」と主張しました。

補足情報1 日垣氏の主張

  • 女川原発着工は1980年
  • 日垣隆氏は1958年生まれ

つまり日垣氏は着工時22歳である。

日垣氏は大学生(東北大学)時代に交渉を成立させたと主張しているので、その主張によれば14.8メートルの高台に建設することに決まったのは1976~80年ということになる。

補足情報2 武田邦彦氏の発言

原発論点7 原発の4重苦
http://takedanet.com/2011/05/post_b941.html

記事中のポイントとなる箇所を以下に引用する。

ところが、福島原発と同じように三陸沖の地震に見舞われた女川原発は、破壊されませんでした。だから、設計は悪くなかったという見方もあります。
しかし、これは偶然です。
予想された津波の高さは、女川でも福島原発とほぼ同じ6メートルから7メートルでしたが、東北電力の設計者が慎重だったために、15メートル程の高台に立てたので破壊を免れたのです。
つまり、たまたま東北電力の中に慎重な設計者がいたとか、東北電力が高台に土地を持っていたということによって、女川原発は破壊を免れたのです。

補足情報3 文化放送 くにまるジャパン 2011年8月23日放送分より 吉崎達彦氏のコメント

コメントの主旨は以下になる。音声はこちら

  • 女川原発は14.8メートルの高台に建っており、今回の津波は14メートルだった
  • どうしてその高さにしたのかは東北電力社内でもわからないし、資料も残っていない
  • 女川原発は1984年に一号機が稼動している(着工は1980年)が、1960年代から計画しており、漁業補償交渉が長引いたため計画は遅れていた
  • 1960年代の構想初期段階から、できる限り高い所につくらなければならないと主張していた役員がいた
  • 高い所につくらなければならないとした理由は津波を警戒しなければならないから

補足情報4 JNN報道特集 2011年8月20日放送「なぜ?神社の手前で大津波が止まったワケ」 より 東北電力 土木建設部長のコメント

コメントの主旨は以下のとおり。動画はこちらの18:37~19:36あたり

過去の津波での被災を考慮し、敷地を10m以下に置くことはナンセンスと考えて女川原発の敷地の高さを海抜14.8mに決めた

補足情報5 毎日新聞 斗ヶ沢秀俊氏の反応

facebook上での発言で名前を挙げられている毎日新聞の斗ヶ沢秀俊氏はtwitterアカウント hidetoga を持っており、ユーザーからこの件について質問されているが、2011年8月23日現在回答はない。

取材内容

上記の情報とは別に私が取材した内容は次のとおり。

  • 東北電力では女川原発を14.8メートルの高さに建設することは1960年代に既に決まっていたことを確認している
  • 14.8メートルの高さにした経緯や理由は記録に残っていないが、それを主張する役員がいたからであると東北電力内では語り継がれている
  • その役員とは状況より平井弥之助氏と推定される

要点

日垣氏の主張する「東北大学在学中に東北電力と交渉し、女川原発の敷地を14.8メートルの高台に変更させた」ことの証拠や証人は見つかっていない。

逆にその主張に対する反証は見つかっており、情報源は東北電力である。

2012年3月5日 追記

前述の「東北電力では女川原発を14.8メートルの高さに建設することは1960年代に既に決まっていた」ことについて、櫻井よしこ氏は1968~69年に行われた敷地の高さを決定するための会議録を手に入れたことなどを『週刊新潮』に書いている。その記事は櫻井よしこ氏のWebサイトに掲載されている。次のページである。

「 原発事故克服に専門家を活用せよ 」
http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2012/03/01/%E3%80%8C%E3%80%80%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85%E5%85%8B%E6%9C%8D%E3%81%AB%E5%B0%82%E9%96%80%E5%AE%B6%E3%82%92%E6%B4%BB%E7%94%A8%E3%81%9B%E3%82%88%E3%80%80%E3%80%8D/