2013/01/29

日垣問題年表

時期 出来事 資料・リンク・備考
1997 毎日新聞社「エコノミスト」誌での連載『敢闘言』で、それまで「事故で亡くなった」とされていた弟について「弟を殺した教師たち」と記述する このブログのテーマ「弟(兄弟)」
1999 『敢闘言―さらば偽善者たち』(太田出版)および『少年リンチ殺人』(講談社)で、弟が「同級生(少年)に殺され」たと主張し始める このブログのテーマ「弟(兄弟)」
2002 老齢の元校長つるし上げ事件 ★特ダネ!田中県政下での査問!説明付き。作家・日垣隆が「あんた反省してんのか!」と元校長つるし上げ/長野県教委による議事録 音声の部分も記録されている
2003~ 有料メルマガ配信遅延問題 有料メルマガ配信遅延問題
2003 公文書有料配信問題 公文書有料配信問題
2004 グリーン料金不正受給疑惑 グリーン料金不正受給疑惑
2004 ライター 松沢呉一氏と論争 日垣隆氏と松沢呉一氏との論争
2005 いじめを受けていた生徒(の母)からのメールに対する罵倒疑惑 助けを求めるメールに罵倒で返信疑惑
2006~2007 『すぐに稼げる文章術』盗作疑惑 日垣隆の著作に関する報告(再掲)/日垣隆の盗作事件を検証する/盗作問題の類似点検証素材/日垣隆『すぐに稼げる文章術』が好きになれない理由
2007年末 雑誌連載をすべて終了させ、連載を有料メルマガのみに限定する メールマガジン第258号(2007年10月19日号)で2008年1月1日~2009年3月31日の休載を宣言する
2009/07 週刊現代で連載『なんなんだこの空気は メディア考現学』を始める 初回のタイトルは『足利事件で忘れられた精神鑑定書の罪』、第二回は『拉致被害者の「遺骨」をめぐる日本側の錯誤』であった。
2009/07 ツイッターを始める twilogなどAPI経由でアカウント作成日を見ることができる
2010/01 週刊ダイヤモンド編集部とツイッターでバトル 日垣隆さんの週刊ダイアモンドによる無断掲載の抗議つぶやき/2010年ツイッターの旅/前掲の記事に対する日垣氏の反応
2010/01 いとうまい子氏にツイッターで絡むもかわされる 日垣隆先生、いとうまい子氏に絡むもかわされる
2010/01 八十二銀行に預金を横領されたと主張する 日垣隆先生、八十二銀行の預金から120万円が行員により横領されたと語る
2010/02 毎日新聞社・産経新聞社・時事通信社が「2年以内に倒産する」とツイートする 当該のツイート1/ツイッ拓によるキャッシュ/hiwihhiによるキャッシュ/当該のツイート2/ツイッ拓によるキャッシュ/hiwihhiによるキャッシュ
2010/02 書評家 豊崎由美氏とツイッターでバトル 師匠VS師匠! 日垣隆さんと豊崎由美さんの喧嘩がスゴかったよ!
2010/05 政治家 河野太郎氏とツイッターでバトル 【口蹄疫】河野太郎に日垣隆が噛みついた!「あなたは他人の痰をよく飲むの?」
2010/07 日経新聞電子版の詐欺商法をツイッター上で告発する 当該のツイート(キャッシュ)
2010/08~2010/09 ボイジャー社に対しツイッターで暴言 株式会社ボイジャーに対する日垣隆先生の発言
2010/09 TBSラジオ『サイエンス・サイトーク』降板騒動 Googleで「日垣 TBS ラジオ」を検索した結果
2010/09 評論家 勝間和代氏とツイッターでバトル togetter内の検索結果
2010/10~ 麻木久仁子氏についてツイッターでコメントし始める togetter内の検索結果
2010/11~ ジャーナリスト 常岡浩介氏が裏取引をしているとツイッターで発言し、本人から裏取引の内容を質問されるも答えられず 日垣隆 vs 常岡浩介/日垣隆氏が安田純平氏と常岡浩介氏に吹っかけた捏造コント
/日垣隆氏と常岡浩介氏の「トムとジェリー」的日常。
2010/12~ うつにSSRIよりバイアグラを使うべきと主張し始める うつにSSRIよりバイアグラを使うべきと珍説を流布して逃亡した日垣隆(hga02104)/(続)日垣隆氏@hga02140の「うつには抗うつ剤よりバイアグラ」論
2010/12~2011/08 尖閣諸島に上陸したことをツイッターで喧伝する 日垣隆先生は尖閣諸島に上陸していた?
2010/12 エアクリスマスパーティー開催 【設定】日垣隆先生のエアクリスマスパーティー【崩壊】
2011/02~ 中国語メルマガ疑惑
2011/02 ワニブックス社に対しツイッターで暴言 株式会社ワニブックスに対する日垣隆先生の発言
2011/03 リビア架空取材疑惑・東北地方被災地架空取材疑惑 リビア・東北取材
2011/04~ 東日本大震災被災者への寄付をアピールし始める(架空寄付疑惑) 日垣隆さんが被災地に全財産寄付したのにマスコミはなぜ報道しないのだ(怒)
2011/04~2011/07 日本赤十字社が東日本大震災被災地への義援金を流用していると主張し始める(日赤問題) 日垣隆(@hga02104)の日本赤十字社をめぐる「誤解」
2011/05 ジャーナリスト野口修司氏とツイッターでバトル 日垣隆先生と野口修司先生の会話
2011/05 実業家 成毛眞氏に対して「彼はクスリをやっているので、逮捕される可能性大と思います。」と発言する 「自演先生」こと、あの日垣隆先生が今度は成毛眞氏に対して名誉毀損ツイート。
2011/05 竹中平蔵氏が論文を盗作して慶應の博士号を取得したとツイッターで発言し、竹中氏の博士号は阪大であることを指摘される 日垣隆「竹中平蔵は盗作論文で慶応の博士号取得!」→「いや、平蔵さんは阪大だから」(瞬殺) / 2011/09にfacebookで再度同じことを述べる
2011/05 Amazon自作自演事件 Amazon自作自演騒動
2011/05 『電子書籍を日本一売ってみたけれど、 やっぱり紙の本が好き』内の記述、電子書籍を日本一売ったことへの根拠など内容に対する疑惑が持ち上がる 日垣隆著『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』の内容に対する問題
2011/05 映画評論家 町山智浩氏宅に家宅捜索が入り、逮捕されるとツイッターで発言し、問題視される 日垣隆氏、ついに一線を越える。町山智浩氏へ名誉毀損ツイート、「容疑者」呼ばわり。
2011/06 5刷問題となるツイートをする 5刷問題
2011/06 豆腐屋ツイート改ざんRT事件 【改ざんRT】なぜ日垣隆先生は他人のツイートを書き換えるのか【意味不明】
2011/06 民族差別発言 日垣隆先生の差別観
2011/07 コアマガジン社 BREAK Max(ブレイクマックス)誌のインタビューをキャンセルする 日垣隆氏、コアマガジン社ブレイクマックス誌のインタビューをキャンセルする
2011/07 編集者 久田将義氏とツイッターでバトル にらめったーによる記録
2011/07 女川原発5メートル発言 女川原発5メートル発言
2011/07 公式サイトで販売しているPDFファイル(電子書籍)に認証がかかっておらず、誰でもダウンロードできることが2ちゃんねるで指摘される 有料PDF URLダダ漏れ問題
2011/07 他人の著作を自炊して公開していたことが発覚する 他人の著作を自炊して公開問題
2011/08 映画評論家 町山智浩氏が脱税しているとツイッターで発言し、ユーザーから反論されるも根拠を示さず @hga02104 日垣隆先生が、町山智浩氏が脱税していると言い出して… / 週刊現代で連載中 写真盗用の日垣隆氏 @hga02104 が証拠を出さず。 町山智浩氏を誹謗中傷。
2011/08 他人のブログの写真を盗用して被災地に行ったフリ事件 週刊現代で連載中 被災地を食い物にしてる日垣隆氏 @hga02104 が被災地の写真をkaoriemate から無断盗用。矛盾だらけの言い訳をしてtwitterを非公開にして開き直り発言。
2011/08 映画評論家 町山智浩氏が講談社を出入り禁止になったと非公開でツイートし、講談社クーリエジャポン編集部から否定される 講談社週刊現代に連載中の @hga02104 日垣隆先生が、「町山智浩氏が講談社を出入り禁止になった」というデマツイートを本人に見えないように流し、一瞬で否定されるまで
2011/08 ツイッターからfacebookに活動拠点を移し始める
2011/08 Amazonのレビューで『裁判官に気をつけろ!』内での最高裁判決の引用に捏造があることが指摘される 該当のレビュー / 僕は判決文が読めないー日垣隆『裁判官に気をつけろ!』尊属殺法定刑違憲事件判決文捏造疑惑
2011/08 クレド会員限定勉強会を録音した音声ファイルと、それを文字おこししたPDFファイルが流出する クレドPDF流出事件
2011/09 編集者 佐藤眞氏とfacebook上でバトル
2011/09 『情報への作法』発売 情報への作法
2011/10 毎日新聞が2年以内には倒産するとツイートする 当該のツイート(原文は「2年以内内は倒産するでしょう」である)
2011/10 「アーサー」により『情報への作法』に対するAmazonレビューが書き込まれる 『情報への作法』Amazonレビュー自作自演騒動
2011/10 「アーサー」が「トキワ荘」に公開名を変更し、過去に投稿したレビューを削除した上で町山智浩氏の『トラウマ映画館』にAmazonレビューを書き込む アーサー⇔トキワ荘Amazonレビュー事件
2011/10 第7回緊急日垣塾が中止になる 緊急日垣塾中止事件
2011/11 「トキワ荘」が「懸垂二百回」に公開名を変更し、Amazonでの活動を再開する トキワ荘⇛懸垂二百回 Amazonタグ・コメント追加事件
2011/11 『つながる読書術』発売
2011/12~2012/01 公式サイトで古銭等の販売に取り組む 日垣隆氏公式ページでの海外紙幣等販売
2012/01 アフリカ取材旅行 2012年1月 アフリカ取材旅行
2012/01 公式サイトに接続できなくなる
2012/04~ フィリピン語学留学 04/23~05/01 CPILS
05/14~05/18 CG ESL CENTER
05/28~06/09 CG ESL CENTER
以降詳細不明
2012/06 facebookに語学留学先の学校長等の逮捕が決定などと投稿し、抗議を受ける フィリピン英語留学顛末 / キャッシュ(megalodon+hiyo) / キャッシュ(hiyo)
2012/06 「毎日新聞社が会社更生法を東京地裁第八部に申請」とツイートし、続いて「予定稿を先に流してしまう方法を、真似してみました。」とツイートする 日垣隆先生と毎日新聞
2012/07 八十二銀行について2010年10月以来言及する 日垣隆先生、八十二銀行の預金から120万円が行員により横領されたと語る
2012/07 週刊現代の連載『なんなんだこの空気は メディア考現学』が終了する 週刊現代「なんなんだこの空気は メディア考現学」掲載リスト
2012/08 日垣隆氏の弟が亡くなった事故について書かれたと思わしき新聞記事が見つかる。追ってその件についての判決文と、判決後に関係者を取材した新聞記事が見つかる このブログのテーマ「弟(兄弟)」
2012/08 語学学校(英語)の開設を宣言する 公式サイトでのアナウンス/公式サイトの申し込みページ/facebookへの投稿1/2/3/4/ツイート
2013/01 ジャーナリスト 重信メイ氏とfacebookでバトル 日垣隆vs重信メイ / 続・日垣隆vs重信メイ / 続々・日垣隆vs重信メイ
このエントリは目次のようなものと理解してください。ただしブログ内のすべての記事が年表に含まれているわけではありません。
新たな出来事があった場合や入れ忘れていた問題を見つけた場合は適宜追加、細かい出来事の前後関係などは適宜修正していきます。セルの背景が黄色の項目は最近編集・追加された項目です。
このエントリは常に上位に表示されるよう、更新時には日付も更新していきます。
年表に含まれていない問題・ブログで触れていない問題も多数ありますが、それについてはリンクサイトを参照してください。

2012/11/15

問題の新聞記事・判決文を踏まえた日垣隆氏による記述へのさらなる疑問

以前の記事『問題の新聞記事・判決文と日垣隆氏による記述の一致』では発見された新聞記事・判決文・判決後の新聞記事が日垣氏の弟についてのものである可能性について述べた。これらが日垣氏の弟についてのものである場合、さらに以下の点が問題になる。

  1. 被害者の両親は殺人を主張していない
    『少年リンチ殺人』(1999年)には「私の弟は、十三歳でその命を閉じた。両親は、教師たちの過失による「事故」だと、今でも信じようとしているのだが、うすうす気がついているのではないか、と私は感じている。」と書かれているが、これは日垣氏の両親さえも「被害者は同級生により殺された」とは主張していない、ということである。
    これは日垣氏の記述のみを見ても導き出されることであるが、判決文を見ると確かに原告(被害者の両親)は「同級生による殺害」を主張していない。
    本件について事故ではなく殺人(他殺・犯罪)であると主張している者は日垣隆氏以外に見つかっていない。一方、資料に残されている限りすべての当事者(被害者の両親、学校関係者など)はこの件を事故として扱っている。
  2. 加害者は存在したのか、刑法41条・少年法は適用されたのか
    『少年リンチ殺人』(1999年)には「相手は、刑法(第四十一条 十四歳に満たない者の行為は、罰しない)および少年法に基づき、取り調べさえ受けなかった。最初から「なかったこと」にされた。」という記述があるが、刑法41条・少年法を根拠にした場合、その行為は「なかったこと」にはならない(参考:日垣隆は「弟の死」の真相を明らかにすべきだ)。これは日垣氏が法律を理解していないという指摘であるが、判決文を見ても被害者が除雪溝に転落したことは「不慮の事故」とされている。他者の関与についても「浮わついた気持から級友とふざけ合って遊んでいたため本件除雪溝に転落したことを認めうる証拠もない。」と書かれており、様々な可能性の一つとして挙げられているのみである。もし日垣氏の主張するように「弟は同級生により殺害されたが、加害者は刑法41条・少年法を根拠に罰を免れた」のであれば、判決文はこのような記述にはならず、転落したことも「不慮の事故」(判決文にそう書かれている)として扱われることはないはずである。
  3. 日垣氏の語るエピソードは本当にあったことなのか
    『サイエンス・サイトーク いのちを守る安全学』(2001年)では、「弟が殺されて結局“学校事故”っていうことで処理されたのですけど、葬式などがあって十日間くらいしてから、ようやく僕は学校に行くんですね。」という導入部から、その日の授業中に教師から酷い扱いを受けたという話に続く。しかし、新聞記事及び判決文によると被害者が死亡したのは7月23日であり、その十日後となれば既に8月になっている。この頃は中学校は既に夏休みではないのか(参考:夏休みの期間(日本国内)(Wikipedia) )。本当に授業はあったのか。そして、これらの不可解な記述から、このエピソードは本当にあったことなのか疑問である。
  4. 日垣氏の言う「事件に関する全資料」から何がわかるのか
    『少年リンチ殺人』(1999年)で「私はいつか必ず、弟の事件に関する裁判記録を熟読しようと思ってきた。最初は父が、その作業にあたろうとしていたのだが、精神的にまいってしまうほうが先だった。」「この本を書くために、とりわけ第五章の末尾を書くために、私は今こそ弟の事件に関する全資料をひもとこう、と決意したのだが果たせなかった。」と書かれている。この「事件に関する全資料」とは「裁判記録」のことであろうと考えられるが、問題の裁判では殺意などについては争点になっていない。「全資料」とはどのようなもので、それを読むことで何を知ろうとしていたのか疑問である。

以上のように日垣氏の記述には齟齬・疑問点・問題点があり、弟が同級生により殺害されたという主張は疑わしい。

日垣隆氏による「弟」についての改訂

日垣隆氏は学生時代に弟を亡くしている。このことは、日垣氏が自ら繰り返し自著で触れている。1999年『少年リンチ殺人』の出版以降、日垣氏は「弟は同級生に殺され、少年法により加害行為は”なかったこと”にされた」と主張している。この経験に基づいて、日垣氏は少年法について発言したり、犯罪被害者として意見を述べたりしてきている。

しかし、日垣氏の著書では弟の死についての記述が初出時(雑誌掲載時)から改訂されていたり、文庫化の際に改訂されていたりする。この記事では、それらの改訂のうち重要なものを紹介する。

改訂A:「弟の事故死」→「弟の死」

1997年に出版された単行本『情報の技術』を2001年に『情報系 これがニュースだ』として改題・文庫化する際、次のように改訂されている。

  1. 「弟の事故死」→「弟の死」
  2. 「弟の学校事故」→「事件」

以下に比較のため前後の記述も含めて並べる。

情報の技術(朝日新聞社, 1997/10)
225~226ページ(第1刷)第14章 六法よりも奇なり より

 私にとって、二十代で経験した三度の失業など、十代で耐えねばならなかった弟の事故死や、その弟の学校事故を巡って裁判を両親が起こしたという身近な出来事もあってか、法曹界をめざすようになった兄が二十歳で精神分裂病を発症しまだ治癒せぬこと、などに比べれば全然どうということはなかった。

情報系 これがニュースだ(文春文庫, 2001/3)
266ページ(第1刷) 第14章 六法よりも奇なり 不渡り より

 私にとって、二十代で経験した三度の失業など、十代で耐えねばならなかった弟の死や、その事件を巡って裁判を両親が起こしたという身近な出来事もあってか、法曹界をめざすようになった兄が二十歳で精神分裂病を発症しまだ治癒せぬこと、などに比べれば全然どうということはなかった。

なお、日垣氏は2011年に『情報への作法』として『情報系 これがニュースだ』を改題し再文庫化している。これらの間では改訂されている部分はなかった。

これらの記述を比較してみると、弟は事故で亡くなったとしていたのだが、それについて事故ではなく事件であると記述を変えたことがわかる。

改訂B:「学校事故で失い」→「殺され」

「エコノミスト」誌に連載されていた「敢闘言」を『敢闘言―さらば偽善者たち』として単行本化する際、次のように改訂されている。

  1. 「弟を学校事故で失い」→「弟を殺され」
  2. 「弟を殺したに等しい教師たち」→「弟を殺した者たち」

以下に比較のため前後の記述も含めて並べる。

エコノミスト(毎日新聞社) 1995年1月10日号
11ページ「敢闘言」より

 私は中学三年生のとき二つ下の弟を学校事故で失い、以来、正直に告白すれば、弟を殺したに等しい教師たちに殺意を抱いてきた。彼らを許す気になるまで一〇年以上がかかった。

敢闘言―さらば偽善者たち(太田出版, 1999/5)
143ページ(初版)1995.1.10 命を奪われない限りにおいて より

 私は中学三年生のとき二つ下の弟を殺され、以来、正直に告白すれば、弟を殺した者たちに殺意を抱いてきた。彼らを許す気になるまで一〇年以上かかった。

これらの記述を比較してみると、前者では弟はやはり事故で亡くなったとされている。またその責任が教師たちにあることを示唆している。しかし後者では事故ではなく殺されたと記述を変更し、あわせてその責任が教師たちにあるとしていたのをぼかすように改訂されている。

「事故」から「事件」へ

ここまでの改訂内容でわかるように、日垣氏は当初、弟は事故で亡くなったとしていた。そして後にそれを「事件」であり「殺された」つまり弟の死は殺人事件であったと自らの主張を変更している。

改訂C:「事故」→「致死事件」

1992年に出版された『日本人が変わった――ふくらんだ泡が弾けて』に収録された記事を1998年に『子供が大事!』に再録する際、次のように改訂されている。

  1. 「教師たちの重大な過失による学校事故で、命を奪われたのである。」→「教師たちに、命を奪われたのである。」
  2. 「事故」→「致死事件」
  3. 「死亡事故の原因が、すべて弟の不注意に帰せられていた」→「死亡の原因が捏造され、なんと弟の不注意に帰せられていた」
  4. 「不注意な生徒というイメージをもたせるために、報告書のうえで成績を落とすことが彼らには必要だったのだろう。」という記述の追加
  5. 「僕は父に、そのことを告げた。」→「その場で僕は父と教育長に、そのことを告げた。」

以下に比較のため前後の記述も含めて並べる。

日本人が変わった――ふくらんだ泡が弾けて(毎日新聞, 1992/8)
203~205ページ(刷数不明。1992/8/20発行) 分裂病の兄よ、逝ってしまった弟よ より

 悪夢である。が、実際に起こったことだ。その日から、弟は二度と帰らぬ人となった。教師たちの重大な過失による学校事故で、命を奪われたのである。
(略)
 それまで、教師たちから、事故に関する謝罪を受け、彼らがいかに理不尽な行為のもとに弟を死に追いやったかを僕は直接、耳にしていた。小さな中学校だったから、弟と僕の教え手はほとんど重複していたのである。だが、教育委員会に提出された報告書に書かれてあった内容は、それまでの見聞とは一八○度も違っていた。死亡事故の原因が、すべて弟の不注意に帰せられていたばかりか、中学になって弟が初めてもらった最初で最後の通知表までもが見事に改竄されていたのだった。僕は父に、そのことを告げた。のちに裁判となり、全面勝訴となったのだが、裁判に勝っても弟の命はむろん、帰ってなどこなかった。

子供が大事!(信濃毎日新聞社 , 1998/11)
14~18ページ(初版)第1話 兄よ、弟よ より

 悪夢である。その日から、弟は二度と帰らぬ人となった。教師たちに、命を奪われたのである。
(略)
 それまで、教師たちから、致死事件に関する謝罪を受け、彼らがいかに理不尽な行為のもとに弟を死に追いやったかを僕は直接耳にしていた。だが、教育委員会に提出された報告書に明記されていた内容は、それまでの見聞とは一八○度も違っていたのである。死亡の原因が捏造され、なんと弟の不注意に帰せられていたばかりか、中学になって弟が初めてもらった最初で最後の通知票までもが見事に改竄されていたのだった。不注意な生徒というイメージをもたせるために、報告書のうえで成績を落とすことが彼らには必要だったのだろう。
 その場で僕は父と教育長に、そのことを告げた。のちに裁判となり、全面勝訴となったのだが、裁判に勝っても弟の命はむろん、帰ってなどこなかった。

これらの記述を比較することで、以前は「弟の死は事故によるものであるが、教師たちに過失があった」としていたものを、のちに「これは事件であり、加害者が教師たちであり、そして教師たちは事件を隠蔽しようとした」かのような記述に改訂されたことがわかる。

問題点

冒頭に『日垣氏は「弟は同級生に殺され、少年法により加害行為は”なかったこと”にされた」と主張している。』と書いた。しかしここまでの改訂で同級生は出て来ない。実は日垣氏による弟の死についての記述は次のように時期によって異なるのである。

1990年~1996年 事故で亡くなった
1997年~1998年 (教師たちに)殺された
1999年~ 同級生(少年)に殺された

この「時期による主張の変遷」はおおまかなものであり、多少のブレがあったりもする。時期によって弟がどのように亡くなったのかという説明が一貫していない上に、発言する場によっても変わってくるのだ。それらは『日垣隆氏による兄弟(弟)についての記述・発言一覧』としてまとめておいた。

このように主張が一貫していないことにより「日垣氏の弟は本当はどのようにして亡くなったのだろうか」という疑問が呈されるようになった。事故なのだろうか、教師に殺されたのだろうか、同級生に殺されたのだろうか、それともそれ以外なのか。また、同級生に殺されたのでなければ、少年法について「弟が少年に殺された」という経験を元に語っていたことは問題ではないのか、そして事故であるならば「犯罪被害者」という立場から語っていた言葉は何だったのか、という問題もある。

このテーマではこれらの疑問についての調査研究結果を記録していく。

(『「日垣隆氏による弟についての記述」への疑問』に続く)

2012/10/07

週刊現代「なんなんだこの空気は メディア考現学」掲載リスト

# 見出し 収 掲載号
1 足利事件で忘れられた精神鑑定書の罪 ダ 2009/07/18号
2 拉致被害者の「遺骨」をめぐる日本側の錯誤 ダ 2009/07/25号
3 「日食ハンター」をご存知ですか?7月22日に注目!   2009/08/01号
4 取材とは何か そして 何が変わったのか ダ 2009/08/08号
5 指先だけで書く「予定稿」は本当に必要なのか? ダ 2009/08/22・29号
6 芸能人の覚醒剤事件も市民が「深く考える」裁判員制度の対象に ダ 2009/09/12号
7 不倫メールの隠し方と、いつの間にか、超監視社会へ ダ 2009/09/19・26号
8 いったい活字はどこまで崩壊するのか。それとも、むしろ復興? ダ 2009/10/03号
9 組閣時の日本式「正装」をめぐる、いくつかの疑問と不安   2009/10/10号
10 時間の待ち方の変容 または10分1000円理容の感銘 ダ 2009/10/17号
11 「友達がいない!」と、「おひとり様」の間 ダ 2009/10/24号
12 キンドルが日本上陸。買い方だけでなく、読み方も変わる ダ 2009/10/31号
13 結婚式と葬式とネット中毒 ダ 2009/11/07号
14 走り始めると、なぜ、無理をしてしまうのか ダ 2009/11/14号
15 せっかち派VS.のんびり派 ダ 2009/11/21号
16 「無人島でこの××」について、考えてみた ダ 2009/11/28号
17 大過ない人生と、挑戦的な人生。そしてTHIS IS IT! ダ 2009/12/05号
18 睡眠障害が急増中。けれども、そんなことより ダ 2009/12/12号
19 ラジオの衝撃から約1世紀――メディアを手にした大衆 ダ 2009/12/17号
20 新聞社は、これからどうやって食っていくのか ダ 2009/12/26・2010/01/02号
21 人脈って何?ちょっと気持ち悪くないか ダ 2010/01/09・16号
22 2010年、パーソナル・インフラと会社の致命的問題 ダ 2010/01/23号
23 モノからライブへ。憧れから体験と参加へ。この動きは止まらない ダ 2010/01/30号
24 ブック・クラブを私は、流行らせたいと思う ダ 2010/02/06号
25 孤独な読書と、サロン的な読書とは、まったく違う体験知 ダ 2010/02/13号
26 読まずに死ねるか、あの古典や名著を、手に取らぬままには ダ 2010/02/20号
27 古いメディアと、新しいメディアとの、共存としての大読書会 ダ 2010/02/27号
28 現場で考える、現場を見る、現場で読む ダ 2010/03/06号
29 中2生は映画を無料に、という提案。たとえ、それがなくても親が……   2010/03/13号
30 電子書籍の衝撃は、電子レンジほどのものではない(笑) ダ 2010/03/20号
31 ダダ漏れ民主主義へ。秘密主義を超えて、いざ、メディアミクス ダ 2010/03/27号
32 電子書籍の「黒船来襲」なんて、大したものじゃない! ダ 2010/04/03号
33 ネットは便利だけれども、壊れるとただの塊と化し、互助精神にも溢れている ダ 2010/04/10号
34 再びダダ漏れについて。悪しき面もあるけれど、画期的な良薬なり ダ 2010/04/17号
35 「フラット」な関係性へ。覚悟せよ、とんでもない事態も ダ 2010/04/24号
36 ネット空間に漂い続けるデジタルごみ。私事暴露が日常と化す ダ 2010/05/01号
37 米、中、韓の優位。日本は置いてけぼりか。だが、処方はある   2010/05/08・15号
38 iPad狂想曲、果たして来るのか。密かなる楽しみ 電 2010/05/22号
39 読み聞かせの、原点。これからどうなる?どうしたい? 電 2010/05/29号
40 座して死を待つか、カニバリズムか、パクリの道か―日経電子版 電 2010/06/05号
41 紙の新聞に、未来はない。では、生き残る道は? 電 2010/06/12号
42 音楽CDの凋落と、CDブックの静かなブーム。ライブとの相乗効果も 電 2010/06/19号
43 かつて世界を悠然とリードした、その再利用の愉しみ 電 2010/06/26号
44 スポーツの感動、予期せぬ事態、寄り道は豊かさの要諦 電 2010/07/10号
45 控えめな上海万博を舐めてはいけない。激変するサービス力 電 2010/07/17・24号
46 恩知らずのドコモ。一流意識に拘泥し、国内志向で必敗へ 電 2010/07/31号
47 バックパッカーだけが旅人でなし。多様性を楽しみたい 電 2010/08/07号
48 ネットを捨てて、町に出よう。たくさんの出会いが 電 2010/08/14号
49 婚活メディアが短期の「夢」を煽っても幸せにはなれない―― 電 2010/08/21・28号
50 日本のいびつなギャンブルを、会社員は笑えない 電 2010/09/04号
51 もしかして私はセミナーおたく?とにかく、省エネである 電 2010/09/11号
52 摩訶不思議なマカ。本当に効くのか 電 2010/09/18号
53 孤食は、人間の天敵。単なる栄養補給じゃない! 電 2010/09/25号
54 ヘアヌードから、およそ20年。いまは素人ヌード? 電 2010/10/02号
55 郵便不正事件?朝日のスクープ連発?冗談ではない 電 2010/10/09号
56 記者クラブなど昔のまま、ずっと存続させればよいのだ 電 2010/10/16号
57 TBSは二度、死にました。今回はラジオで 電 2010/10/23号
58 TBSの白旗で収束へ。だが、それで済むのか? 電 2010/10/30号
59 がんばれTBSラジオ(笑)あと3年は 電 2010/11/06号
60 ホテルや宿は、何のために顧客管理を? 電 2010/11/13号
61 米国からの黒船、なにするものぞ!との誤判断が露呈 電 2010/11/20号
62 ダダ漏れ民主主義。海猿の正義感を、断固として支持! 電 2010/11/27号
63 常夏のハワイ島の、零下1度の山頂で考えたこと 電 2010/12/04号
64 メールに忙殺の日々。が、大半は無駄(でしょ) 電 2010/12/11号
65 15年前の朝日新聞における「踏み絵」の発明 電 2010/12/18号
66 『世界大百科事典』これぞ、「紙の本」の底力! 電 2010/12/25号
67 地方紙の微妙さ。その未来は、行き止まり 電 2011/01/08号
68 『いける本いけない本』は、いけない本だ!   2011/01/15・22号
69 箱根駅伝が変わった、その理由とは   2011/01/29号
70 一夜にして激変する、ツイッター騒動記   2011/02/05号
71 ついに出た!命令による裸踊り。凋落のTBSにて   2011/02/12号
72 簡単に故障するようになってしまった日本製品   2011/02/19号
73 メディア(媒体)の消失問題は、実に深刻である   2011/02/26号
74 新品との交換が保証されていても、肝心のデータが……   2011/03/05号
75 客を「映画泥棒」扱いする劇場を拒否しよう!   2011/03/12号
76 北アフリカで、本当の所いま何が起きているのか?   2011/03/19号
77 未知の世界での情報の集め方、行動の決定方法   2011/03/26号
78 大異変のとき結局、何が頼りになるか   2011/04/02号
79 日本全土が被災地であり、全員が被害者だ   2011/04/09号
80 そもそも、取材とは何だろうか   2011/04/16号
81 「ご本人様でいらっしゃいますか」って、お前こそ誰だ   2011/04/23号
82 便利さと引き換えに充電器問題――25年の変化   2011/04/30号
83 チェルノブイリとフクシマ。同じこと、違うこと   2011/05/07・14号
84 津波が戦争を終わらせた――。人類への試練   2011/05/21号
85 身近なところで小さな努力を――。または闇について   2011/05/28号
86 危機を煽り立てる派vs.あとづけで解説派   2011/06/04号
87 仲間内意識が、国内外の報道を歪ませる   2011/06/11号
88 社会主義と資本主義とは、合わせ鏡のような   2011/06/18号
89 ANAよ、キミもJALの如くに   2011/06/25号
90 ANAよ、さらば――とは言わないが   2011/07/02号
91 なんとなく流れる定義なきレッテルに、誰も抗い難い   2011/07/09号
92 『源氏物語』とFacebookに共通するもの   2011/07/16・23号
93 オークションは、かつて高嶺の花だった   2011/07/30号
94 誰でもできる身近なリアル・オークション   2011/08/06号
95 あなたもネトオクの主宰者に!   2011/08/13号
96 Facebookでナンパされそうになった話(前篇)   2011/08/20・27号
97 Facebookでナンパされそうになった話(中篇)   2011/09/10号
98 Facebookでナンパされそうになった話(後篇)   2011/09/17号
99 フジテレビを囲んだデモに見る「達成感」考   2011/09/24・10/01号
100 新大陸と旧大陸――好機到来の件   2011/10/08号
101 損切りと得切りが、勝負と人生を大きく分かつ!   2011/10/15号
102 ANAのドジミス連発のお蔭様で、より楽しい旅に(笑)   2011/10/22号
103 禁断のFXは、ギャンブルゆえ楽しいのだ!   2011/10/29号
104 東電株が上がり始める日を予測する方法   2011/11/05号
105 解説書が煽るのは、勝者が少ない故だ。娯楽として楽しもう!   2011/11/12号
106 そろそろ手帳の時期。これぞベスト!は、なかなかないよね   2011/11/19号
107 思えば遠くへ来たもんだねえ、通信事情も   2011/11/26号
108 人によって旅の目的は違う。歳による変化も大きい   2011/12/03号
109 「ランナーズ手帳」なるほど、この手があったか   2011/12/10号
110 フェイスブックの「フェイス」問題について考える   2011/12/17号
111 プロが予測を外したら、今後はペナルティを(笑)   2011/12/24号
112 島崎藤村が生活のために敢行した自費出版   2012/01/14号
113 出版セミナー全盛。やれやれ、な諸問題   2012/01/21号
114 国境の越え方。そもそも、考えたい「国」の「境」とは   2012/01/28号
115 黄熱病の予防だけしても、どうなのよ   2012/02/04号
116 アフリカの通信事情はいま、どうなっているか   2012/02/11号
117 どこでも仕事が出来る時代。いいことなのか?   2012/02/18号
118 損切り回避の秘策、教えます   2012/03/03号
119 フェイスブックはなぜ、面白いのか(前篇)   2012/03/10号
120 フェイスブックはなぜ、面白いのか(中篇)   2012/03/17号
121 フェイスブックはなぜ、面白いのか(後篇)   2012/03/24号
122 津波は、またいつか必ず来る   2012/03/31号
123 東急不動産社長への公開質問状   2012/04/07号
124 追伸。東急不動産、金指社長殿   2012/04/14号
125 なぜ人々は、テレビを見なくなったのか   2012/04/21号
126 世界を席巻するスマホは「どこでもドア」   2012/04/28号
127 陸からか、海からか、空からか   2012/05/05号
128 写真という媒体と自意識の暴走   2012/05/19号
129 時間厳守と「青春」考   2012/05/26号
130 異国から見聞してみた日本の「ニュース」   2012/06/02号
131 著名衰退企業にも生前葬は如何?   2012/06/16号
132 悩ましいねえ堂々たる違法コピー   2012/06/23号
133 違法コピー、その商法の行きつく先は   2012/06/30号
134 ありえたかも知れぬ人生は、ニュースもまた例外ではない   2012/07/07号
135 趣味は、楽しいですよね?では仕事は?   2012/07/14号
136 ヲタク、適度なストック、過剰性   2012/07/21号
137 ネバー・ギブ・アップ!   2012/08/04号
138 Rich? or Happy?(最終回)   2012/08/11号

収…「ダ」は『ダダ漏れ民主主義』、「電」は『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』に収録されている。